農林水産省は、水稲の収穫量に関する統計で長年活用してきた「作況指数」について、令和7年産(2025年)をもって公表を中止する方針を明らかにした。作況指数は過去30年程度の統計的トレンドを基に作成されてきたが、実際の生産現場との感覚のずれが問題視されていた。今後は収穫量調査の精度をさらに高めるため、人工衛星や収量コンバインによるデータ活用も視野に入れるという。
集落営農に占める法人の割合が着実に上昇していることが農水省の調査でわかった。先ごろ公表された令和7年集落営農実態調査結果(令和7年2月1日現在)による。 集落営農数は対前年比46(0・3%)減の1万3952と減少したが、組織形態別では、法人が5852と同104(1・8%)増加した一方、非法人は同150(1・8%)減の8100と減少、合計では減少する結果となった。この結果、集落営農に占める法人の割合...
令和7年産主食用米作付けの大幅増加 令和7年産の主食用米の作付け面積が大幅に増加する見込みであることが、農林水産省の「水田における作付意向(令和7年産第2回中間的取組状況)」から明らかになった。主食用米の作付け面積は前年産に比べて5万8,000ha増の131万7,000haに達し、過去5年間で最大の増加を記録する見込みである。 令和7年産米の備蓄米の影響と総作付け面積 さらに、令和7年産の米につい...
ロボット農機の公道走行実現に向けた規制改革の方向性がまとまった。政府が5月28日に開催した第23回規制改革推進会議で取りまとめた「規制改革推進に関する答申」に盛り込まれたもの。答申では、既に措置されている道路運送車両法上の位置づけ創設に加え、道路交通法による「特定自動運行」の対象となる旨を通知などで明確化。加えて、警察庁に対し農家等が地域でロボット農機を最小限の負担で円滑に活用できる制度の運用を確...
江藤前農相が不適切な発言により辞任。新たな農林水産大臣として、自民党の農林部会長などを務めた小泉進次郎氏が就任した。 5月21日の就任会見では、冒頭、農水省の最も重要な使命は国民に食料を安定的に供給することだとし、まず米について消費者に安定した価格で供給できるよう全力で取り組む、と明言。 具体的には、石破首相から随意契約を活用した備蓄米の売渡を検討するよう指示があったことを明らかにした。このため、...
野菜流通カット協議会(木村幸雄会長)は5月8日、東京都千代田区のKKRホテル東京で令和7年度通常総会を開催した。総会では、協議会設立10周年記念式典開催を盛り込んだ令和7年度事業計画など、5つの議題について審議し全て承認。木村会長は、「加工・業務用野菜の産地育成が課題。セミナーの開催などで情報を発信していく」と述べた。 総会の冒頭では木村会長が挨拶に立ち、「当協議会においては、加工・業務用野菜の産...
令和12年度の果樹の生産数量目標が256万tに設定された。先ごろ答申された新たな果樹農業振興基本方針案で明らかにされたもの(関連記事6面)。現状(令和5年、以下同)244万7000tから11万3000t生産を増やす。 そのため、生産面積の減少は現状19万4000haから19万2000haと2000ha減に抑える一方、単収は現状1258㎏から1334㎏にまで伸ばす。単収の向上に向けては省力樹形の導入...
全国で急激に暖かくなった。気象庁によると、今年の夏も暑くなる見込みが示されている。そうしたなかで改めて注意を促したいのが熱中症対策だ。厚労省では、「全事業者」を対象として、熱中症対策を義務付けする方向で労働安全衛生規則の改正案が答申されており、6月から施行される見込みだ。農水省によると、令和5年の農作業中の死亡事故のうち、37人が熱中症によるもの。近年増加傾向で推移しており、熱中症の被害をいかに減...
JA全農(理事長:桑田義文)は6月30日、全日本空輸(ANA)の協力のもと、米穀の航空輸送に関する実証試験を実施した。今回の試験は、物流の2024年問題に対応した新たな輸送手段の確立を目的として行われた。 JA全農はこれまで、米専用貨物列車「全農号」や船舶を活用した物流の多様化を進めてきた。一方、航空輸送は、輸送スピードと長距離対応における優位性を有しており、JA全農としても新たなモーダルシフトの...
日栄インテック(本社:東京都荒川区西尾久7-34-10)は、鮮度保持に優れた独自技術「スーパークーリングシステム」の普及を進めており、農業生産者や仲卸業者などから高い評価を得ている。近年、農業分野における鮮度保持技術としての注目度が急上昇している。 同社は、農業技術の研究開発や革新的な農業プラクティスの推進に注力しており、農作物の高収量化や耐病性の向上、さらに生産・加工・流通・保存まで一貫した技術...
先日開催された「自治体・公共Week」において、来場者の注目を集めたのが、ササキコーポレーション(代表取締役:佐々木一仁)が出展した車載式草刈機『ブームマスターZ』の実機展示である。 この製品は、2トントラックに搭載可能なブームアーム式の車載型草刈機であり、道路沿いや法面の草を効率的に刈り取ることができる。人力による作業と比べて大幅な省力化を実現し、刈り取った草を自動で飛ばす仕組みにより集草の手間...
クボタ=北尾裕一社長、大阪市浪速区=は、同社がサービスを提供する営農支援システム「KSAS(Kubota Smart Agri System、ケーサス)」に、生成AIを活用した「KSAS AIチャット」機能を正式に追加した。本機能により、KSASの使用方法や新規就農に役立つ情報だけでなく、営農に関する簡単な質問を回答できるよう機能を強化した。今後もクボタは、KSASにおけるAIの活用を順次強化して...
農研機構(久間一夫理事長)は27日、東京都内で「スマート農業イノベーション推進会議(IPCSA(イプサ))」の設立総会を開催した。会議には農業者、民間企業、研究機関、自治体関係者など多様な関係者が参集し、農業者を中心としたコミュニティ形成の第一歩を踏み出した。農業者で構成する運営委員会の委員長は、大規模ハウスにロボット技術を導入してトマト栽培を行っている浅井農園の浅井雄一郎氏が務める。農研機構では...
東海地域で初開催となる農業・畜産向けの展示会「AGTS農業展」が7月9日㈬~11日㈮の3日間、愛知県常滑市のAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)展示ホールFで開かれる。 AGTSとは「A」「G」ribusiness 「T」rade 「S」howの略。農業・畜産の様々な課題を解決し生産力の向上、経営の安定化と拡大を目指す農業・畜産従事者向けの展示会。最新製品・サービスの展示や各種のセミナ...
カンリウ工業=長野県塩尻市広丘野村1526―1=は今年4月18日に創業100周年を迎えた。それを記念して7月1日に「創業100周年記念式典」を松本市内のホテルブエナビスタで盛大に開催した。式典には総勢108名が出席する中、精米機を主力に100年の成功を支えた〝変化への適応力〟と〝革新性〟の足跡を振り返った後に社長交代を発表。藤森俊介新社長は『凛とした会社』を目指すと宣言し、新体制で新たな一歩を踏み...
芝草管理機の主要メーカーを一堂に集めた「2025東北ターフフェス」が7月1日、宮城県仙台市泉区根白石字花輪山1の泉国際ゴルフ倶楽部練習場で初開催された。主催はジェイジック東北(千田健二社長、宮城県黒川郡大和町落合松坂星野前27―2)。当日は、最新機械の実演や各社の機械を比較することができる貴重な機会とあって、ゴルフ場管理者や樹園地管理者、また関係行政などが北は北海道、南は広島県までの広範囲から約1...
気候変動が進む中、作物の高温障害対策はますます重要性を増している。資材メーカーも、高温障害の軽減に役立つ製品を開発し、各種展示会などで積極的にPRしている。一方で、農業現場では人手不足が深刻化しており、特に夏場の繁忙期には高温対策に多くの時間や労力を割くことが難しいという声も聞かれる。そこで、本特集では「高温障害対策に役立つ注目製品」をテーマに、できるだけ省力的に作物の高温環境に対応できる資材や、...
目次 BSの位置づけと展望 業界あげ自主基準づくり 作物の収量ギャップ抑える 日本BS協議会・和田哲夫氏に聞く 自然界からの贈り物 上手な使い方と考え方 ハイポネックス アミノ酸・海藻・菌根菌 様々な活用方法を提案 日本で原料販売加速 ボレガード独自の高機能フミン酸 BSの位置づけと展望 業界あげ自主基準づくり バイオスティミュラント(BS)と呼ばれる新しい資材カテゴリーは、近年、農業資材の展示会...
秋田県種苗交換会、そして、協賛行事の一つである、秋田県農業機械化ショーがまもなく始まる。種苗交換会は今年で147回、農機ショーは76回を数え、秋田県農業を支えてきた重要なイベントだ。今年の農機ショーは11月1日㈮~5日㈫、鹿角市の「花輪スキー場第1・第2駐車場」で開催される。主催は秋田県農業機械化協会(白石光弘会長)。 写真撮影には八幡平地域経営公社(阿部聖代表、鹿角市八幡平前川原24)にご協力い...
OATアグリオ(東京都千代田区神田小川町)は、高温ストレス対策専用のバイオスティミュラント資材「炎天マスター」を、5月12日から全国で発売開始した。 「炎天マスター」は、独自に見出した高温ストレス耐性を高める成分を配合しており、HSF(高温ストレスを感じると発現量が増加し高温に備える指令を伝える)遺伝子の発現を増加させ、ROS(ストレスを感じると量が増えて植物を傷つける物質)を除去する効果が確認さ...
バイエルクロップサイエンスは4月3日、次世代バイオスティミュラント肥料「アンビションG2」を商系ルートでの販売を開始した。本製品は、北大西洋の過酷な環境下で育つ海藻「アスコフィラム・ノドサム」から独自技術で抽出した有用成分を48%含有。作物のストレス耐性向上や、根の発達、光合成の促進、栄養吸収効率の改善などが期待される。 処理方法は「灌注」や「散布」があり、散布する場合は100~200㎖となるよう...
農研機構、千葉県農林総合研究センター、神奈川県農業技術センターは、水稲栽培における難防除雑草「ナガエツルノゲイトウ」に対して、除草剤を用いた防除技術を開発した。 ナガエツルノゲイトウが発生している現地圃場において、移植栽培期間中に、本種に効果のあるピラクロニル剤およびフロルピラウキシフェンベンジルを活用した3通りの防除体系を適用したところ、雑草害の軽減が実証された。さらに、この技術を2年間継続する...
「みんなでつくる持続可能な森林(もり)と社会」キックオフ・フォーラムが5月30日、東京都江東区の木材会館で開催。林業・木材産業関係5団体による共同宣言が公表された。宣言は4項目で、国産材を活用し日本の森林を守る運動推進協議会の前田直登会長を代表提案者、日本林業協会会長をはじめ、全国木材組合連合会会長、全国森林組合連合会会長、日本林業経営者協会会長が共同提案者となり、日本の森林を将来にわたって健全な...
人生の岐路には予期せぬ出来事や、出会いなどの〝きっかけ〟を感じることがあるが、東京都森林組合=木村康雄代表理事組合長、東京都西多摩郡日の出町=で5年目を迎えた長田健汰さん(24歳)が林業の世界に導かれたのは一本の映画だったとのこと。高校卒業後の進路を決める大切な時期に父親が借りてきた映画『WOOD JOB!(ウッジョブ)』を見て「仕事=デスクワークではなく、自然の中で体を使う仕事もいいなと。特に伐...
高性能林業機械の最新技術が集結!全国育樹祭記念行事として開催 林業機械化協会(島田泰助会長)は、3月13日から「みやぎ2025森林・林業・環境機械展示実演会」の出展者募集を始めた。締め切りは4月11日㈮まで。 同展示実演会は、ハーベスタ、フォワーダ等の高性能林業機械をはじめ、チェーンソー、刈払機等の小型林業機械、木材破砕機等の森林バイオマスの有効利用のための機械、環境保全や安全に資する機械、機具、...
日本農業機械工業会(増田長盛会長)作業機部会は4月10日、令和6年1―12月の「作業機の生産・出荷・輸出入実績(日農工実績)」をまとめた。作業機全体の国内向出荷実績は対前年比2・1%減の498億円となった。このうち、乗用トラクタ用は436億円。機種別では砕土、整地用が同1・1%増の116億円と伸びた。 日農工がまとめた作業機の生産・出荷・輸出入実績(令和5年1―12月分)の概要は左表の通り。国内向...
トラクター輸出が減少傾向も 75kW超130kW以下は10%増 日本農業機械工業会(増田長盛会長)は1月31日、令和6年通期の農業機械輸出入実績をまとめた。 輸出額は対前年比2%減の2849億5557万円となった。このうち、農業用トラクタは合計が同3・3%減の1930億4935万円。馬力帯別では、18kW以下は同57・4%増の168億31万円、75kW超130kW以下が同10・8%増の3...
農水省はこのほど、令和6年産米の農産物検査結果(速報値、令和6年12月31日現在)を公表した。 検査数量は水稲うるち玄米で375万9500tとなり、11月30日現在と比較し15万1500tの増加、対前年同期比では1・6%少なくなっている。 1等比率は75・9%で前年同期と比べ14・6ポイントの増加となったものの、前々年との比較では2・7ポイント下回っている。 1等比率を都道府県別にみると、90%以...
農水省はこのほど令和6年産米の相対取引価格・数量(令和6年12月)をまとめた。 12月単月の全銘柄平均で玄米60㎏あたり(以下同)2万4665円と前月比で704円(3%)の増加。また、前年同月との比較では9275円(60%)の増加だった。また、出回りからの年産平均価格は2万3715円で対前年産比8400円の増加。出荷業者と卸売業者の間の取引としては比較可能な平成2年以降で過去最高となった。 出回り...
一度の散布で作物の生育環境を根本から改善できると注目されている微生物土壌活性剤『納豆菌の力』。近年、この納豆菌由来の土壌改良資材を導入する農業生産者が全国で増加している。 茨城県坂東市でネギを栽培する符盛(フー・セイ)氏(53歳)もその一人だ。符盛氏は、過去3年間にわたり黒腐菌核病による被害で全滅を繰り返し、まさに壊滅的な状況にあった。 しかし2024年、微生物土壌活性剤『納豆菌の力』を導入したこ...
日本農業法人協会(会長:齋藤一志)は2024年5月30日、「コメ生産に係る会員アンケート」の調査結果を公表した。全国の農業法人188社が回答し、令和6年産米の販売価格、生産コスト、収支見通し、今後の経営戦略や懸念事項などが明らかとなった。 米価は上昇基調、販売単価「2万円超」が過半数 令和6年産の主食用玄米(1俵60kg・税込)の販売単価について、最も多かったのは「2万1円〜2万5,000円」で4...
会場デザインプロデューサーの藤本壮介氏が、大会のシンボル、大屋根リングを案内した。「いま世界は分断が激しくなっている。そんな時代に全世界の8割にあたる約160カ国がこの小さな1つの場所に集まって半年間を過ごし、共に未来を考える、その意義は途轍もなく大きい。リングには〝多様でありながら1つ〟という理念が込められていて、リングの中に世界各国のパビリオンが全て配置されている。リングは各パビリオンを訪れる...
べにはるかの栽培と持続可能な農業への取り組み 茨城県ひたちなか市の「しんあい農園」では、加工用さつまいも(品種:べにはるか)を約5.5haで栽培し、フルタイムの従業員2名と約10名のパート従業員が支えています。 「重労働を減らし、女性でも作業しやすい環境を整えたい」と語るのは、澤畑明宏代表(40)。そこで導入したのが、大倉工業(本社:香川県丸亀市)が開発した生分解性マルチシート「エコロームFC」で...