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一本の映画きっかけに 東京都森林組合の長田健汰さん

一本の映画きっかけに 東京都森林組合の長田健汰さん
人生の岐路には予期せぬ出来事や、出会いなどの〝きっかけ〟を感じることがあるが、東京都森林組合=木村康雄代表理事組合長、東京都西多摩郡日の出町=で5年目を迎えた長田健汰さん(24歳)が林業の世界に導かれたのは一本の映画だったとのこと。高校卒業後の進路を決める大切な時期に父親が借りてきた映画『WOOD JOB!(ウッジョブ)』を見て「仕事=デスクワークではなく、自然の中で体を使う仕事もいいなと。特に伐採のシーンが強烈で〝自分もやってみたい〟。そう思ったんです」。そこで数ある林業系の学校の中より進学先に選んだのが岐阜県立森林文化アカデミー。広大な県有林をフィールドに伐採技術はもちろん、林業機械の操作など必要なスキルを2年間で学び、いざ就職という時に長田さんが選んだのが現在の東京都森林組合だった。
 神奈川県茅ケ崎市出身。神奈川県ではなく東京を選んだ決め手は、との質問に、「とにかく伐採がやりたいという強い想いがあり、主伐などを手掛けていて一番その想いが叶えられると感じたので。何より同じアカデミー出身の白鳥さんがいたのが一番大きかったです」と答え、伐採班の良き先輩として今もアドバイスを乞うている。
 現在の主戦場は、専らチェンソーを使った伐採作業。重心や伐採方向、足場といった複数の要素を瞬時に判断しながら、安全かつ効率的に木を倒していく。最初は全てに気を配りすぎて時間がかかっていたというが、今では「判断ポイントを絞ることでスピードが上がった気がします」と、頼もしい言葉が返ってくる。この伐採作業、傍から見ていると簡単そうに見えるかもしれないが、実はかなりハードで危険な作業。チェンソーの重さに加え、木を倒すための力仕事、そして何より、山の中での作業は足場が悪く、体力的にも精神的にもタフさが求められるが、本人からは「作業中は清々しい気持ちになります」との談が返ってきた。そうした作業をスムーズに進めるためにこだわるのは「目立て」。チェンソーの刃の手入れは、作業効率と安全性を左右する重要な工程だけに「まっすぐ、スムーズに滑る刃であることが理想」と、真摯に作業に向かっている姿勢を感じさせた。
 話を聞いていた終盤に丁度所属する素材生産班の班長が現場から降りてきた。長田さんの仕事ぶりについて「伐採をやりたくて来てるから一生懸命。仕事もよく覚える」とその姿勢に太鼓判を押していた。そんな長田さんの将来の夢は後進を育てる立場になること。教員をしている母親の背中もあり、「教えられる立場になって技術をつないでいきたい」とフォレストリーダーの資格取得も視野に入れている。
 東京都森林組合の作業班の中でも最年少だという長田さん。現在、東京都森林組合では作業の安全性や効率化を図るべく海外製の高性能林業機械を導入するなど、先進的な取り組みを図っているだけに、今後も経験を重ね、安全施業を第一に現場を引っ張っていく存在になることが期待されていた。
     ♢
 本レポートは各地のJ―クレジット発行体を取材した「カーボン・オフセットで森づくり」に続き、各素材生産業者や森林組合などから若手林業従事者を紹介いただき、林業に入った感想などを聞くと共に、各事業体代表者などから人材獲得や育成について取り組んでいる工夫などを聞く。

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