JA全農とANA、米穀の航空輸送を実証試験|物流2024年問題への対応と新モーダルシフト推進
JA全農(理事長:桑田義文)は6月30日、全日本空輸(ANA)の協力のもと、米穀の航空輸送に関する実証試験を実施した。今回の試験は、物流の2024年問題に対応した新たな輸送手段の確立を目的として行われた。
JA全農はこれまで、米専用貨物列車「全農号」や船舶を活用した物流の多様化を進めてきた。一方、航空輸送は、輸送スピードと長距離対応における優位性を有しており、JA全農としても新たなモーダルシフトの可能性を模索していた。
ANAでは、昼間の旅客便における貨物スペースの有効活用を通じて、農産物や米穀などの空輸による流通最適化を提案。今回の実証試験は、その取り組みの一環として実現した。
試験で使用されたのは、JA全農が落札した政府備蓄米の玄米。埼玉県内の保管倉庫から羽田空港までトラックで輸送されたのち、ANAの旅客機に搭載。フレコンバッグ12本分(約12トン)の玄米が空輸され、当日夕方には沖縄県の那覇空港に到着した。
空輸後、玄米は沖縄県内の精米工場で加工され、県内の小売店へと出荷される予定である。離島や遠隔地への安定的かつ迅速な米の供給体制の構築に向けた重要なステップとなった。
JA全農米穀部の藤井暁部長は、「遠距離輸送の際に航空貨物輸送という選択肢が加わることで、遠方のお客様へ迅速な供給が可能になると考えている。今後、今回の結果を検証しながら、実用化に向けた検討を進めたい」とコメントしている。
今回の実証試験は、今後の農産物流通における輸送手段の多様化と効率化、そしてモーダルシフトの推進による持続可能な物流体制の構築に向けた重要な事例として注目されている。