ナガエツルノゲイトウの効果的な除草技術:農研機構、千葉県農林総合研究センター、神奈川県農業技術センターの共同研究

農研機構、千葉県農林総合研究センター、神奈川県農業技術センターは、水稲栽培における難防除雑草「ナガエツルノゲイトウ」に対して、除草剤を用いた防除技術を開発した。
ナガエツルノゲイトウが発生している現地圃場において、移植栽培期間中に、本種に効果のあるピラクロニル剤およびフロルピラウキシフェンベンジルを活用した3通りの防除体系を適用したところ、雑草害の軽減が実証された。さらに、この技術を2年間継続することで、ナガエツルノゲイトウが蔓延した圃場においても、越冬する地下部まで効果的に防除できることが確認され、雑草害の軽減と蔓延防止が期待される。
ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されている多年生雑草であり、河川、水路、水田などに侵入・定着する。
国内では1989年に初めて確認され、2024年12月現在、東北以南の26都府県に分布が広がっている。
本種は、節を含む茎や根からの栄養繁殖によって増殖し、水田に侵入すると水稲の減収や収穫作業の妨げとなる。また、代かき後の落水時などに再生能力を持つ茎や根の断片が水路を通じて拡散する恐れがある。水中や暖地では葉や地上部の茎が越冬するが、霜が降りる地域では12月以降に地上部が枯死し、地下茎や根の状態で越冬する。このため、侵入水田での早期防除と分布拡大の防止が求められていたが、これまで有効な防除技術は確立されていなかった。
農研機構、千葉県農林総合研究センター、神奈川県農業技術センターは、ナガエツルノゲイトウに有効な水稲用除草剤とその処理時期を特定し、適切な除草剤を組み合わせた体系的な処理技術を開発した。
具体的には、水稲移植後にピラクロニルを含む除草剤を処理し、その後、ナガエツルノゲイトウ再生始期(草丈5㎝、水稲移植約20日後)または同生育期(草丈35㎝以下、水稲移植約40日後)にフロルピラウキシフェンベンジルを含む除草剤を処理することで、防除が可能となる。
この技術により、生産者は水稲栽培期間中に手取り除草を行うことなく、ナガエツルノゲイトウの地上部の生育を慣行比10%以下に抑制できる。さらに、2年間継続すると、既にまん延している水田でも越冬する地下部まで防除可能となる、としている。
【実証試験の結果】
千葉県の早期栽培地域で、生産者が管理する水田(面積5a)を対象に、開発した実証体系1および2の防除効果を現地の慣行体系と比較した。その結果、自然発生するナガエツルノゲイトウの地上部乾物重は、慣行体系と比べて4~8%に抑制された。さらに、これらの体系処理を2年間継続した結果、ほ場あたり5カ所の深度15㎝の土中調査で地下部が検出されない程度まで防除できた。なお、これらの処理体系は水稲収量に影響を与えないことも確認された。
一方、移植が6月上旬に行われる神奈川県の普通期栽培地域でも、単年度の結果ではあるが、生産者が管理する水田(面積12a)において、ピラクロニルとフロルピラウキシフェンベンジルを含む3剤の体系処理(実証体系3)を実施したところ、自然発生するナガエツルノゲイトウの地上部に対して高い防除効果が確認された。
ナガエツルノゲイトウが発生している現地圃場において、移植栽培期間中に、本種に効果のあるピラクロニル剤およびフロルピラウキシフェンベンジルを活用した3通りの防除体系を適用したところ、雑草害の軽減が実証された。さらに、この技術を2年間継続することで、ナガエツルノゲイトウが蔓延した圃場においても、越冬する地下部まで効果的に防除できることが確認され、雑草害の軽減と蔓延防止が期待される。
ナガエツルノゲイトウは特定外来生物に指定されている多年生雑草であり、河川、水路、水田などに侵入・定着する。
国内では1989年に初めて確認され、2024年12月現在、東北以南の26都府県に分布が広がっている。
本種は、節を含む茎や根からの栄養繁殖によって増殖し、水田に侵入すると水稲の減収や収穫作業の妨げとなる。また、代かき後の落水時などに再生能力を持つ茎や根の断片が水路を通じて拡散する恐れがある。水中や暖地では葉や地上部の茎が越冬するが、霜が降りる地域では12月以降に地上部が枯死し、地下茎や根の状態で越冬する。このため、侵入水田での早期防除と分布拡大の防止が求められていたが、これまで有効な防除技術は確立されていなかった。
農研機構、千葉県農林総合研究センター、神奈川県農業技術センターは、ナガエツルノゲイトウに有効な水稲用除草剤とその処理時期を特定し、適切な除草剤を組み合わせた体系的な処理技術を開発した。
具体的には、水稲移植後にピラクロニルを含む除草剤を処理し、その後、ナガエツルノゲイトウ再生始期(草丈5㎝、水稲移植約20日後)または同生育期(草丈35㎝以下、水稲移植約40日後)にフロルピラウキシフェンベンジルを含む除草剤を処理することで、防除が可能となる。
この技術により、生産者は水稲栽培期間中に手取り除草を行うことなく、ナガエツルノゲイトウの地上部の生育を慣行比10%以下に抑制できる。さらに、2年間継続すると、既にまん延している水田でも越冬する地下部まで防除可能となる、としている。
【実証試験の結果】
千葉県の早期栽培地域で、生産者が管理する水田(面積5a)を対象に、開発した実証体系1および2の防除効果を現地の慣行体系と比較した。その結果、自然発生するナガエツルノゲイトウの地上部乾物重は、慣行体系と比べて4~8%に抑制された。さらに、これらの体系処理を2年間継続した結果、ほ場あたり5カ所の深度15㎝の土中調査で地下部が検出されない程度まで防除できた。なお、これらの処理体系は水稲収量に影響を与えないことも確認された。
一方、移植が6月上旬に行われる神奈川県の普通期栽培地域でも、単年度の結果ではあるが、生産者が管理する水田(面積12a)において、ピラクロニルとフロルピラウキシフェンベンジルを含む3剤の体系処理(実証体系3)を実施したところ、自然発生するナガエツルノゲイトウの地上部に対して高い防除効果が確認された。