【2024年最新版】米価上昇も生産コストが課題に|日本農業法人協会が会員アンケート結果を発表
日本農業法人協会(会長:齋藤一志)は2024年5月30日、「コメ生産に係る会員アンケート」の調査結果を公表した。全国の農業法人188社が回答し、令和6年産米の販売価格、生産コスト、収支見通し、今後の経営戦略や懸念事項などが明らかとなった。
米価は上昇基調、販売単価「2万円超」が過半数
令和6年産の主食用玄米(1俵60kg・税込)の販売単価について、最も多かったのは「2万1円〜2万5,000円」で45.2%、次いで「1万5,001円〜2万円」が20.7%であった。
前年との比較では「5,001円〜1万円の増加」が38.3%、「1〜5,000円の増加」が36.2%。「価格が下がった」との回答はなく、明確に米価上昇の傾向がみられる。
米生産コストは7割以上が「前年の1.1〜1.5倍に上昇」
生産コストの変化に関しては、68.1%が「1.1〜1.5倍未満の上昇」、19.1%が「1.5〜2倍未満の上昇」と回答。資材・燃料価格の高騰が背景にあり、構造的コスト増加が浮き彫りとなった。
収支は好転、利益増加の見通しが多数
令和6年産の収支実績(見込みを含む)では、「前年比30%未満増益」が38.8%、「30〜50%未満増益」が25.0%、「50%以上増益」が11.7%。収益改善を見込む法人が約8割に上る。
作付面積、今後5年で「1.1〜1.5倍」へ拡大の見通し
今後5年間における米作付面積の方針では、「1.1〜1.5倍に増加」が49.5%で最多。「変動幅10%未満(ほぼ現状維持)」が31.9%で続いた。多くの法人が拡大を視野に入れている。
安定供給と増産に必要な対策とは
複数回答での必要な施策は以下の通り:
- 基盤整備された優良農地の担い手農業者への集積・集約(134件)
- 正確な作況指数の把握(101件)
- スマート農業の導入による生産性向上(82件)
稲作経営の不安要素は「設備コスト」「人手不足」「価格変動」
不安に感じる要素(複数回答)は以下の通り:
- 農業用施設・機械の取得単価が高すぎる(145件)
- 生産コストの大幅上昇(105件)
- 人手不足(105件)
- 生産過剰による米価暴落(104件)
まとめ|米価回復は追い風、構造課題への対応が急務
米価上昇により収益改善が期待される一方で、生産コストの増加や人材不足、設備投資負担などの課題が依然として重くのしかかる。
今後は、スマート農業の導入、農地の集約、制度活用による設備投資支援など、持続可能な稲作経営体制の構築が求められる。