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農機技術クラスター総会 17課題の開発実施 研究課題に新タイプ追加

農機技術クラスター総会 17課題の開発実施 研究課題に新タイプ追加
農研機構農業機械研究部門(農機研、大谷隆二所長)は3月3日、オンラインで令和3年度農業機械部門研究報告会(農業機械技術クラスター総会)を開催。当日は関係者など約300人が参加した。総会ではクラスターの活動報告が行われたほか、研究報告として、「越冬ハクサイ頭部結束機の開発」など7課題の報告が行われた。

  報告会では、初めに大谷所長があいさつ。「農研機構は今年度から第5期中期計画をスタートさせた。スマート農業技術の開発実証プロジェクトやSIP第2期など様々な研究プロジェクトに参画しスマート農業技術の開発普及に鋭意取り組んでいるところ。更にみどりの食料システム戦略を推進するため、農研機構では様々な研究課題を立ち上げ取り組んでいる。とりわけ、当部門では、有機栽培取組面積100万haというKPIに向け水稲作における有機栽培のネックとなる除草作業を効率的に行うために地域農研と連携して新たな機械除草の体系を確立することを目指している。また、データ駆動型農業を推進するため、農機API事業にも参画している」など農機研の取組を紹介した。続いて、農水省から情勢報告。技術普及課生産資材対策室の吉田剛室長が農作業安全、肥料、農業支援サービスについて説明。また、農林水産技術会議事務局研究統括官室の小島陽一郎研究専門官がみどりの食料システム戦略や農林水産技術会議事務局の予算について説明した。
 その後、総会では、農機研機械化連携推進室の杉本光穂室長がクラスターの活動報告。クラスターでは「機械・システムの開発」と「専門委員会の開催」の2つを柱として活動を行っており、前者については現在17課題の開発を実施中。更に来年度から研究課題のタイプとして、これまでの①地域農業機械化支援タイプ②革新コア技術実用化タイプ③次世代革新基盤技術の3タイプに加え、④新技術導入効果実証タイプが追加される、などと説明した。専門委員会については、安全性向上委員会では、農作業安全のアンケート調査を実施、標準化・共通化推進委員会では、農機API共通化コンソーシアムを運営しAPI利用規約等のガイドラインを整備した。
 また、基調講演として㈲穂海農耕の丸田洋代表取締役が「農業者からみた将来の農業機械及びシステムの開発」と題して話題提供。丸田氏は環境への更なる配慮や肥料価格の高騰などの昨今の情勢を受け、「例えば、我々のほ場でも一発肥料を使っているが、これは撒くだけで高い技術はいらない。しかし、今後、BB肥料や単肥に回帰していくと見込まれ、必要な時、必要な量を農業者自身が判断していかなければならず、短期的には技術として原点回帰しなければならないのでは」などと述べた。そのうえで、「集まったデータをもとに分析をし、その分析結果を利用し、自動で動くようなより高度かつ自律的な農機が必要とされてくる」と将来の見込みを語った。
 午後からは次の7つの研究課題について、報告が行われた。
 ①「越冬ハクサイ頭部結束機の開発」大森弘美氏(無人化農作業研究領域革新的作業機開発グループグループ長)②「リンゴ黒星病発生低減のためのけん引式落葉収集機の開発」同(同)③「高精度可変施肥が可能な重量計付きブロードキャスタの開発」西川純氏(無人化農作業研究領域小型電動ロボット技術グループ主任研究員)④「牛の飼養衛生データの連携を支援する共通語彙構築」竹﨑あかね氏(知能化農機研究領域国際標準・土地利用型作業グループ上級研究員)⑤「遠隔操作式高能率法面草刈機の開発」青木循氏(無人化農作業研究領域革新的作業機構開発グループ主任研究員)⑥「農作業における中腰姿勢保持のための補助器具に関する研究」菊池豊氏(システム安全工学研究領域協調安全システムグループグループ長)⑦「刈払機の刈刃ブレーキ装備性能評価試験方法に関する研究」手島司氏(システム安全工学研究領域協調安全システムグループグループ長補佐)。

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