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うね内2段局所施肥の効果実証 3割減肥でも収量増 佐賀県農業試験研究センター下古場稜一氏発表

うね内2段局所施肥の効果実証 3割減肥でも収量増 佐賀県農業試験研究センター下古場稜一氏発表

 今年2月20日に行われた全国農業システム化研究会成績検討会において、佐賀県農業試験研究センターの下古場稜一氏が、ブロッコリーにおける畝内2段局所施肥(機械:タイショーの畝立同時局所施肥機GRANVISTA KTU―360―GP)によって、化学肥料を3割削減しても収量は17%余り増加したと発表した。10a当たり作業時間は約3時間削減。40a以上なら経営的に十分メリットとなるとした。本稿では、畝立同時2段局所施肥の実証調査結果を紹介する。

【実証の概要と考察】
 ▽実証/慣行の作業体系の違い=慣行区の「基肥散布→畝立て」の2工程を実証区では「畝立同時2段局所施肥」で行い、追肥は行わない。移植機は両区とも、クボタ乗用自動移植機KP―202。
 ▽供試肥料(比較は窒素成分量、N―㎏/10a)。慣行区は基肥BB480を11・2、追肥①BB602を3.2(定植14日後)、追肥②同を3.2(出蕾期)で総窒素量17・6。
 それに対し実証区は、上層にBB480を2、下層に被覆尿素を10・3で総窒素量は12・3で、実証区は慣行区の窒素成分当たり3割減肥。
 ▽収穫時期=実証区が5日くらい早く収穫開始。また、実証区では生育のバラつきが少なかった。
 ▽収穫時生育・花蕾品質=生育は両区とも同等。花蕾については、花蕾高は実証区7.4㎝、慣行区6.9㎝で実証区の方が高く、花蕾重量は実証区386g、慣行区328gで実証区の方が1割ほど重くボリュームがあった。品質面も問題はなかった。
 以上の結果から、実証区では、減肥しながら、収量も高くなった。これについてはGRANVISTAの施肥の性能が高かったためと言える。
 ▽作業時間=実証体系により基肥散布、畝立、追肥の作業が35%省力化された。また10a当たりの作業時間は、移植当日のほ場条件が悪く、GRANVISTAは本来作業速度より遅くなった中だったが、実証区では慣行より3時間削減された。
 ▽経営評価=10a当たりの売上高は慣行区38・3万円、実証区45万円(花蕾重量が実証区の方が大きいため)で実証区の方が高い。一方、10a当たり生産経費は慣行区41万円、実証区71・5万円(減価償却費含む)。
 この結果から、実証区10a当たりでは40万円の損失となった。ただし50aを想定すると、減価償却費負担が減るため、70万円の利益(所得)となる。また、実証体系を導入した場合、経営的にメリットとなるのは40a以上から。軽労化プレミアを加味した場合も同等。
【残された課題と今後の展開】①前準備に、耕起深が20㎝ほど必要(慣行10~12㎝)で作業適期が限られる可能性②土壌条件によりうねが立ちにくい→機械作業に適した土壌水分、砕土条件を確認する③機械の導入費→多品目での実証を行い機械の稼働率を上げる。

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