農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 火曜日発行
 >  > 食料安保のリスク検証 温暖化の影響顕在化 肥料高騰「重要なリスク」に

食料安保のリスク検証 温暖化の影響顕在化 肥料高騰「重要なリスク」に

食料安保のリスク検証 温暖化の影響顕在化 肥料高騰「重要なリスク」に
農水省は6月21日、食料安全保障に関するリスク検証(2022)をまとめた。国内生産については、労働力・後継者不足のリスクが特に果実、野菜、畜産物などの労働集約的な品目を中心に「重要なリスク」と評価している。温暖化や高温化のリスクはほとんどの品目で顕在化しつつあり、注意すべきリスクと評価している。生産資材は、燃油の価格高騰のリスクについて、燃油費の割合が高い品目で重要なリスク、肥料の価格高騰リスクはほとんどの品目で重要なリスクと評価した。

 農水省がまとめた「食料の安定供給に関するリスク検証(2022)」では、食料・農業・農村基本計画で生産努力目標を設定している24品目を基本としたうえで、食料産業4業種及び林業(木材)等をあわせた32品目を対象として選定。25品目についてそれぞれの概況を定量的、定性的に分析・整理した「リスクシート」を作成したうえで、対象32品目の各リスクの「起こりやすさ」と「影響度」を分析。それぞれ5段階、3段階で評価し重要なリスクと注意すべきリスクを特定した。
 それによると、国内生産については、労働力・後継者不足に関するリスクは手作業が多く労働集約的な品目(野菜、果実等)での「起こりやすさ」が高まっている。これらの品目では総じて影響度も大きく、「重要なリスク」と評価した。一方で、土地利用型作物など一定程度機械化が進んでいる品目については「起こりやすさ」、影響度とも比較的小さくなると評価した。
温暖化や高温化については、さとうきびと飼料作物・穀物を除くすべての品目で顕在化しつつあり、「注意すべきリスク」と評価した。
生産資材に関するリスクでは、燃油や肥料飼料穀物といった原材料への輸入依存度が高い生産資材の価格高騰リスクは飼料穀物では顕在化しつつあり、燃油や肥料では「起こりやすさ」が高まっている。
 農機については、輸入減少のリスクとしては、輸入先国の過半を友好国のEUが占めることから、輸入途絶のリスクは高いとはいえない。ただし、原料やその原材料の一部を中国等から輸入しており、現在、半導体については、国際的な需給のひっ迫により、一部の型式について国内製造に遅れが生じていることから、原料調達状況について注視が必要、と指摘。一方で価格高騰については、原料となる鉄鋼価格、製造に必要なエネルギー価格等の影響を受けるものの
農機の製造原価に占める原材料価格の割合は低いため、その影響は限定的であり、リスクが高いとは言えない。品質劣化のリスクについては、製品輸入はEUが主であり、輸入先国の事情による品質劣化のリスクは高いとはいえない。中国等からの部品調達についても、一定のリードタイムは必要となるが、国内調達への切替が一定程度可能であり、リスクは限定的と考えられる、としている。
 21日には省内の会議室に集まった検討チームから武部副大臣が代表して金子農相に検証結果を報告。金子農相は「今回の結果を踏まえ、わが国の食料安全保障の強化に向け、必要な政策の検討を危機感を持って速やかに行う必要がある。そのため、以下の3点をお願いする。①厳しい環境下にある農林漁業者等の声をしっかり受け止め、4月に策定した原油価格物価高騰総合緊急対策を速やかに実施し着実な成果につなげていってもらいたい②骨太方針や活力創造プランに掲げた肥料価格高騰への対策や輸入に依存している小麦・大豆等の増産など当面の課題に向けた対策の具体化を急ぐこと③食料農業農村基本法の検証も含め中長期的な視点からわが国の食料安全保障の強化に向けた総合的な施策の検討に着手すること。以上をしっかり取り組んでいただきたい」と述べた。

関連記事

令和4年 都城4年連続トップ 市町村別産出額米は新潟、野菜は鉾田

令和4年 都城4年連続トップ 市町村別産出額米は新潟、野菜は鉾田

外部との連携推進 デジタル活用で事務簡素化

外部との連携推進 デジタル活用で事務簡素化

自給率の重要性変わらず

自給率の重要性変わらず

担い手の投資意欲高い 稲作は半数以上 景況DIはマイナス幅縮小

担い手の投資意欲高い 稲作は半数以上 景況DIはマイナス幅縮小