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りんごDX実証実験開始 持続可能な産業へ ササキ、NTT、東光鉄工など

青森県でりんごの加工・製品販売を行うマキュレと、ササキコーポレーション、NTTe―Drone Technology、東光鉄工、NTT東日本は、持続可能なりんご産業に向けてIT等の最新技術を活用し、生産現場から消費者までワンストップに連携するプラットフォームの構築を目指す「りんごDX(デジタルトランスフォーメーション)」を開始した。ドローン受粉やロボット草刈機、更にIoTやAIで「見える化」を図り、労働力不足や技術継承等の課題に取り組む。
 りんごの花が咲き誇る5月6日、マキュレが管理する弘前市のりんご園地(約1200坪)「りんご未来農園」で実証実験が行われた。
 はじめに、NTTe―Drone Technologyと東光鉄工がドローンの受粉作業を実施。
 従来の人手作業やマメコバチによる受粉に替わり、ドローンで受粉作業を行うもので、5本のりんご(ふじ)の木の上を農業用ドローン「AC101」が飛行し、花粉(王林)を溶け込ませた溶液4ℓを往復2分ほどで散布した。人手では1本1時間ほどかかるといい、作業を大幅に効率化できると期待される。受粉に必要な溶液を提供、技術協力している東光鉄工は7年かけてドローン受粉に取り組む。東光UAV研究所の鳥潟所長は、「ドローン散布でも木の下の方まで付着している。今後は花粉をどのように溶液に溶け込ませるかが課題だ」と話す。
 NTTe―Drone Technologyの山﨑代表は「農業用ドローンは米作りの現場で活躍しているが、野菜や果樹でも利用したいという声をたくさん頂いている。ドローン受粉で現場に役立つ実績を重ねていきたい」と話した。
 続いてササキコーポレーションがリモコン作業機「スマモ」を実演。狭い場所でも草刈り可能な「草刈アタッチ」や木の際などを刈り取ることができる「際刈アタッチ」を取り付け、低騒音で軽快に走行。また「トレーラーアタッチ」を装着すれば収穫したりんごの運搬作業にも活用できる点も紹介した。同社の戸田部長は「スマモは電動で安全、誰でも使えて色々な作業ができる。素人も扱いやすいスマモをおすすめした。今後も様々な協力をしたい」と述べた。
 NTT東日本は、りんご園地にwifi環境を構築。農園にセンサーを入れ、温度や照度、土壌環境などのデータを記録し「見える化」する。取得したデータはリアルタイムで把握でき、また園地にカメラを設置することで24時間リアルタイムに農園の状況を確認できる。また首都圏にあるマキュレの売り場と結び、遠くにいる消費者と園地のつながりも作れる。
 マキュレの高橋代表取締役は「生産と消費を繋げるプラットフォームを作り、消費者のニーズに合わせたりんご製品を製造し全国の消費者へ届けたい。東京ではカットリンゴの人気が高い。そうした生産と消費のつながりをDXで可能にしていけたら」と話す。
 りんごの生産量60%を占める青森県では、労働力不足等により、どのように生産を維持していくかが課題となっている。青森県農林水産部りんご果樹課の成田悟総括主幹は、「生果だけでなく加工用りんごも確保するよう強い要望が出ている。農繁期が重なるため、農家ではなく加工業者に人手がかかる摘果や収穫作業をやってもらっている状況だ。こうした新しい技術の導入に期待している」と話した。

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