日本農業機械工業会が第62回定時総会を開催 ~スマート農業やカーボンニュートラル対応の方針を表明~
日本農業機械工業会(増田長盛会長)は6月5日、東京都港区のシェラトン都ホテル東京で第62回定時総会を開催した。総会では、増田会長が「食料供給を通じて人々の生命を支えている農業の未来が輝かしいものとなるよう、業界が一丸となって社会課題の解決に取り組む」と力強く述べた。また、総会後は従業員功労表彰式及び懇親会も行われた。
総会冒頭、増田会長が挨拶。最近の動向として5月の内閣府・月例経済報告で米・トランプ大統領による相互関税など通商政策の影響で景気の下振れリスクが高まっていることが指摘されており、今後の行方が見通せない状況と説明。加えて農業市場については、野菜価格は徐々に低下。米価は随意契約による備蓄米放出で低価格の米が一部出回るようになっているが、昨年産米の販売価格は依然前年同期の2倍以上の水準が続いている、などと説明。そのうえで「先日、あるテレビ番組で若い農業経営者が、『高齢化に伴い農家戸数が減少する中、委託された大規模な農地でどうやって限られたリソースで最大限の成果を出すか。それには先進的な技術を用いて高能率、省力化、省人化を図ることだ。しかもコメ1㎏当たりの生産コストは100円以下を目指す』と言われていた。そうすれば市場へ出回るコメの価格も抑えられ、消費者に届けられるという。こうした状況に対応するため、当工業会としても、スマート農機をはじめとする、農機の高度化と現場への導入を着実に進めるとともに、電動化や燃料のカーボンニュートラル化などへの取組を通じて食料安全保障の確保、国内農業生産の維持・発展に貢献していきたい。農機業界を取り巻く状況は依然として厳しいものがあるが、食料供給を通じて人々の生命を支えている農業の未来が輝かしいものとなるよう、業界が一丸となって社会課題の解決に取り組んでいきたい」などとした。
その後、来賓挨拶。経産省産業機械課の須賀千鶴課長は「農業の生産性向上や脱炭素化・環境負荷低減へ向けてロボットやICT技術を活用したスマート農業の実現や環境負荷低減に向けた取組を着々と進めていただいている。経産省としても関係省庁と連携しながらこうした取組を後押ししたい。また現在、アメリカによる関税措置などの影響を受け世界経済の先行きに不透明感が増している。経産省では関税対策本部を立ち上げ、支援策を講じることとしている。我が国の産業や雇用を守るため、必要な支援をしっかりやっていきたい」などとした。また、農水省生産資材対策室の美保雄一郎室長は挨拶に代えて、情勢報告。①農作業安全②食料・農業・農村基本計画―について紹介した。①では、研修の強化や安全性検査制度の見直し、補助事業における安全性検査の要件化などに触れたほか、国交省の車両安全対策検討会で農耕トラクタへの座席ベルト義務付けについて提案が行われ、今年6月中旬には制度の改正、令和9年1月1日から義務化適用のスケジュールで検討が進んでいる、などとした。
その後、総会。令和6年度事業報告、令和7年度事業計画及び収支予算などについて報告。また、令和6年度決算について審議、承認した。
会員の異動では、正会員のニコントリンブルが退会。一方、4月1日付でC.O.B.O SpAが賛助会員として入会し、4月1日現在で正会員58社・団体、賛助会員4社・団体で合計62社・団体となっている。
総会後は同所で第64回従業員功労表彰式(受賞者名は既報)。その後懇親会も行われた。