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日本植物防疫協会が農薬の新施用技術検討会 ドローンや常温煙霧など

日本植物防疫協会(早川泰弘理事長)は3月14日、「第2回農薬の新施用技術検討協議会」をオンラインで開催した。常温煙霧及び灌水チューブ処理、果樹における散布方法と水量、ドローン散布に関する調査結果を報告した。
 農薬の無人処理が可能な常温煙霧は、専用の常温煙霧機で微粒子の農薬を散布する処理方法で、施設園芸において防除の省力化と散布者暴露を大幅に削減することが期待されている。
 現在は登録農薬が少なく、都道府県からは、トマト、なす、ピーマン・パプリカ、きゅうり、メロン、すいか、いちご、きく、ばら、ぶどう(施設)、みかん(ハウス)の病害虫で登録要望がある。2022年度は、殺菌剤14剤、殺虫剤6剤で計60試験の依頼がある。今後常温煙霧法への適用拡大に向けて登録申請用試験を実施するほか、果菜類と作物形態が異なるイチゴにおける適正散布水量の検討、現場への普及に向けた防除効果の確認や基礎的データの蓄積を実施する。
 また常温煙霧機を試験機関に貸し出ししている有光工業は、ファン・ノズル一体型の現行機に加え、準備や片付けが省力できる新型機を開発中だ。
 また、施設では灌水チューブと液肥混入器の利用が進んでおり、農薬の灌注処理にも適用が期待される。薬効については、ペットボトルを用いたワタアブラムシでの調査で効果を確認。また農薬処理に適した液肥混入器や灌水チューブも確認した。現在、研究所や試験場(茨城・高知・宮崎)の圃場での薬効薬害試験を実施しており、次年度は灌注処理への適用性を検討する。
 また散布水量の見直しについては、今年度は果樹栽培における散布方法、散布水量の現状調査を行うため、農家にアンケートを実施。りんごの防除では青森県で6割が、長野県で8割が個人として行っており、大部分が1000ℓのSSを使用。また散布水量は農家によってバラツキがみられた。次年度は、ぶどうやかんきつ、畑作、大規模露地野菜でも調査を実施する。
 ドローン散布に関する調査では、ばれいしょ疫病・アブラブシ類、かんしょハスモンヨトウ、さといも疫病では地上散布と同等以上の防除効果があったが、キャベツべと病、菌核病ではやや劣る結果となった。野菜の適用性については、雨後すぐに防除できるという利便性がある一方で、普及には複数剤の農薬登録が必要、農家に高濃度少量散布の有効性を信頼してもらうことも必要だとの指摘があった。
 協議会では今後、データの共有や試験方法の確立等に取り組む。

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