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草刈用員確保可能に 多面的機能支払交付金最大7000‌haの遊休農地防ぐ

 多面的機能支払交付金により年間約3000~7000haの遊休農地の発生を防いだことが農水省の試算で明らかになった。農水省が3月16日、オンラインで開いた令和3年度第2回多面的機能支払交付金第三者委員会で示された資料によるもの。委員会は同交付金の中間評価に向け議論を行っており、交付金の効果に関するアンケート結果なども示された。アンケートでは、交付金に取組むことで、水路や農道等の草刈りの参加者を確保できていることが多いことなどが示された。


 多面的機能支払交付金第三者委員会で示された効果の試算では、遊休農地の発生防止について、交付金に基づく活動を行わなかった場合年間約3000~7000haの遊休農地が発生したと推定。その復旧には年間約18~43億円と試算。また、遊休農地の発生防止による土壌浸食防止効果は約2~5億円、土砂崩壊防止効果は約3~7億円、河川流況安定効果は約81~160億円、地下水かん養効果は約5~13億円と試算した。
 このほか、水田の貯留機能向上活動による洪水防止効果は約130億円、遊休農地の発生を防止したことによる気候緩和効果については、200~300万円などとしている。
 また、交付金の効果に関するアンケート調査も公表している。アンケートは活動組織、市町村、大規模経営体及び未取組集落を対象としたもの。それによると、交付金に取り組んでいる区域では、水路や農道等の草刈り等の保全管理作業への参加者の確保状況は、市町村、大規模経営体とも7割近くが確保できているとの回答をしていたのに対し交付金(中山間地域直接支払も含む)に取り組んでいない地域では3割程度となっており、取り組むことで確保できる割合が高くなっていた。
 また、農地利用集積が進んでいる地域における同交付金の資源保全への対応状況への設問では、大規模経営を展開するうえでの課題として「労働力の不足」を挙げている回答が多い。なかでも、畦畔や法面の草刈りなど保全管理活動を挙げている割合が多く、ほ場内の農作業など農業経営自体の作業より問題視している割合が高い。
 また、同交付金の取組が大規模経営体の農業経営に与える効果としては、「水路や農道の草刈りや泥上げが適切に行われるため、営農が行いやすい」との回答が約9割(複数回答可)を占めたほか、「保全活動の参加者を確保しやすく負担が軽減される」との回答も約6割あった。同交付金に取組んでいる区域といない区域を比較すると、保全管理作業に要する時間は10aあたり2時間程度、割合で約2割の差があることが確認された。

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