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日本と欧州の指標 日植防理事長早川氏がみどり戦略を分析

日本と欧州の指標 日植防理事長早川氏がみどり戦略を分析
さきごろ、『みどりの食料システム戦略』をテーマに東京大学で開催されたシンポジウム(主催:『低価格農薬を実現するための革新的生産プロセス』研究開発プラットフォーム)で日本植物防疫協会の早川泰弘理事長が講演。その中で、EUの「Farm to Fork戦略」と日本の「みどりの食料システム戦略」を比較し独自の考察を発表した。今号ではこれを紹介する。


【EUの統合リスク指標(表1参照)】農薬の有効成分を、毒性等のハザード順に、グループ1から4に分類。グループ1にはハザード係数1、グループ2には8、グループ3には16、グループ4には64を割り当て、製剤の出荷量を有効成分量に換算し、その成分の属するグループのハザード係数を掛け合わせたものを合計する。その合計値の2011年から3年間平均値を100とし各年の数値を指数化している。
 『グループ1』は最もハザードが低いもので「低リスク有効成分」と呼ばれるグループ。食品添加物や天然物質等が該当。承認期間は初回は通常10年のところを13年と優遇され、2回目以降15年。審査期間も通常12カ月のところ120日と優遇されている。9月1日現在で集計したところ、30成分(全体の5%)が該当。『グループ2』は通常の成分。承認期間初回10年、2回目以降15年。423成分が該当(同70%)。
 『グループ3』は「代替候補有効成分(CFS)」と呼ばれるグループ。発がん性等の人畜毒性や、生物濃縮性等の環境毒性が一定の基準に該当するものや、殺虫剤、殺菌剤等のカテゴリーの中でADI等の数値が小さいものが該当。承認期間は、初回7年、2回目以降7年で、グループ2の有効成分よりも不利な条件となっている。54成分が該当(同9%)。このように、EUは承認期間や審査期間に差を設け、グループ3の有効成分を減らし、グループ2、さらにはグループ1の有効成分の開発を促す施策を講じている。戦略では、先ほどのKPIの1番目として、このグループ3に属する農薬を「より有害な農薬」として2030年までに50%削減するとしている。
 『グループ4』はEUで承認されていない有効成分のグループ。これはEUには「製剤の緊急認可制度」という規定があり、「EU加盟国は、他の方法によってどうしても防除できない場合は、承認されていない有効成分を含有する製剤を120日以内に限り、加盟国の権限で、使用認可できる」ことになっていた。そして、この緊急認可は何度でも更新できることがわかった。9月1日現在で集計したところ、非承認の有効成分は、927あるが、そのうちの99成分はいずれかのEU加盟国で認可され、実際に出荷・使用されている。この99成分という数は、4つのグループの有効成分全体の16%に相当する。「緊急認可」は特例条項だが、加盟国が頻繁に使用しており、欧州委員会自身も「緊急認可の運用が制度本来の目的と異なっている」と問題視しているが、欧州委員会の制度設計・運用が理念先行で非現実的であるため、現場の実態に合っていないことが問題の本質と早川理事長は語った。


【EUにおける農薬のリスク削減状況(表2・図1)】グループ1は一時増えたものの近年低下傾向、グループ2、3は横ばい。特に、グループ3は先ほど述べたように「より有害な農薬」として、2030年までに50%削減の対象になっているが、目標達成のハードルは高いのではないか。さらに、グループ4は50%減で下げ止まっている。このグラフは、効果の高い化学農薬の必要性をよく表していると思う(表2)。
 戦略に記述されているように、過去5年間でリスクは20%減少しているが、下げ止まりの状況(図1)。グループ3の農薬を50%削減し、さらにグループ4の緊急認可をできるだけ減らすことにより、2030年までに50%削減というKPIを達成させようと思われるが、なかなか容易ではない。


【日本のみどり戦略におけるリスク指標】本年6月28日に開催された農業資材審議会農薬分科会で、ADIが0・01未満の『グループ1』については、リスク換算係数1、ADIが0・01以上0.1未満の『グループ2』については、リスク換算係数0・316、ADIが0.1以上の『グループ3』については、リスク換算係数0.1というように決められた。リスク指標として、ADIのみを使用することについては「現時点では、国際的に共通に利用できる指標が他にないので、当座はADIを使用する。環境負荷や環境生物に関しても国際的に利用可能なものが将来確立されれば、それらについても併せて使用することも検討する」とされた。ADIが0・01未満のグループ1のシェアが有効成分数で31・5%だが、リスク換算ベースの使用量では、実に74・6%となっている。

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