農林予算総額2兆6389億円 農業の構造転換へ スマ農集中支援プロ グラムに410億円
農水省は8月30日、令和7年度農林水産予算概算要求を財務省に提出した。総額は財務省が示したシーリング一杯の対前年度当初比16・3%増2兆6389億円。新法が成立したスマート農業については、新たに「スマート農業技術活用促進集中支援プログラム」に410億円を計上。また、林野では、新規「花粉症総合対策」として35億円を計上している。
令和7年度予算は、食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、食料安全保障の強化、環境と調和のとれた食料システムの確立、農業の持続的な発展、農村の振興等を図るため、農業の構造転換の実現に向けた施策を初動の5年間で集中的に実行するとともに、農林水産業の持続的な成長を推進するための予算として編成。
総額は対前年度当初比16・3%増の2兆6389億円。このうち、公共事業費は同18・1%増の8250億円、非公共事業費は同15・5%増の1兆8139億円。公共事業費のうち、農業農村整備は3952億円(関連予算としては5301億円)、森林整備は1489億円などとなっている。
今回の概算要求では大きな柱として、①食料安全保障の強化②農業の持続的な発展③農村の振興(農村の活性化)④みどりの食料システム戦略による環境負荷低減に向けた取組強化⑤多面的機能の発揮⑥カーボンニュートラルの実現・花粉症解決に向けた森林・林業・木材産業総合対策――など7項目を設定。
このうち特に注目すべきポイントの一つが、②の農業の持続的な発展に位置づけられた「生産性の向上に資するスマート農業の実用化等の推進」だ。今年6月にスマート農業技術活用促進法が成立、各種認定制度とそれに基づく税制・金融等の支援措置が受けられるようになっている。今回の概算要求では、新たに「スマート農業技術活用促進集中支援プログラム」として、410億円を計上。具体的には開発・供給促進事業や環境整備の支援などを行う「スマート農業技術活用促進総合対策」、スマート農業技術の現場導入と生産・流通・販売方式の転換、それを支える農業支援サービス事業体の育成や活動の促進を行う「スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート事業」などがラインナップされている。
一方、林業については、森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策に同12億円増の156億円を計上したほか、新規として、花粉症解決に受けた総合対策に35億円を計上。スギ人工林伐採重点区域で、伐採・植え替えの一貫作業・路網整備を推進するとともに、森林所有者への働きかけ支援による意欲ある林業経営体への森林集約化を促進する。また、林業の生産性向上及び労働力の確保に向け、意欲ある木材加工業者に対する高性能林業機械の導入、他産業・他地域との連携による労働力確保等を支援することとした。
なお、合わせて明らかされた組織・定員要求では農産局農業環境対策課に有機農業推進調整官(仮)を設置するなどとしている。