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スギ花粉米の実装 中間取りまとめ植物工場での栽培等検討 

スギ花粉米の実装 中間取りまとめ植物工場での栽培等検討 
農水省はこのほど今年1月に設置した「スギ花粉米の実用化に向けた官民連携検討会」の中間取りまとめを作成した。
 「スギ花粉米」とは、強いアレルギー反応を起こりにくくするために、スギ花粉アレルゲンの特定のアミノ酸配列或いはスギ花粉アレルゲンの構造を改変したタンパク質を遺伝子組み換え技術によりコメに蓄積させたもの。毎日経口摂取することで免疫寛容が引き起こされ、実際のスギ花粉アレルゲンを取り込んでもアレルギー反応が起きなくなると期待される。
 昨年4月、政府は「花粉症に関する関係閣僚会議」を設置。同年5月、今後10年を視野に入れた「花粉症対策の全体像」について取りまとめを行った。更にこれを受け、10月には、前記全体像が想定している期間の初期段階から集中的に実施すべき対応を「花粉症対策初期集中対応パッケージ」として取りまとめた。そのなかで、スギ花粉米については、発症・曝露対策の一つとして、ヒトへの効果や摂取方法等の知見を得るため、実用化に向けたさらなる臨床研究を実施する、などとされている。こうした状況から立ち上げられたのが今回の検討会だ。
 中間取りまとめでは、実用化に向けた課題として、①有効性・安全性の検討②原料米の安定供給・品質管理③市場性・事業性の検討―の3点を挙げている。このうち①では、今後、有効成分を抽出したものを候補として用いて動物試験、臨床試験を実施し、科学的根拠を取得する必要があると指摘。②では、品質・供給の安定化に向け、植物工場での栽培が適当だと考えられる。一方、植物工場でのイネの栽培は研究段階であり、生産コスト目標、技術開発要素を設定し、品質・供給の安定化と生産性向上を図る、こととした。
 ③では、既存薬に対する優位性や治療コンセプトなど、医薬品として目指すべき特性を明確化し、適切な開発計画を作成する。あわせて原料生産から処方までを踏まえた知財戦略の在り方、市場性・事業性の検討を行う必要がある、と指摘。
 中間取りまとめに基づき、官民連携のもと、研究体制を構築。可能な限り早期に民間企業による実用化につなげる、などとしている。

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