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シンジェンタジャパン社長・小林久哉氏に聞く 「食糧増産と気候変動 課題解決のリーダーに」

シンジェンタジャパン社長・小林久哉氏に聞く 「食糧増産と気候変動 課題解決のリーダーに」

シンジェンタジャパンは外資系企業でありながら、売上高の全てが国内市場からのもの。どこよりも日本に根差した企業と言っても過言ではない。日本農業とは運命共同体。そのシンジェンタジャパンの社長に就任されて8カ月余りが経過した小林久哉氏に、食と農のサステナビリティについてのお考えを聞いた。


 ――トップが交代すると企業も変わると言われます。ご就任の抱負を。


 「企業のリーダーにとって大切なのは、成長の方向性、企業文化といった〝変えてはならないもの〟をブレない軸としながら、アップデートを加えていくことだと考えている。いま、世界の農業の課題は食糧増産と気候変動への対応、サステナビリティだ。80億人を超える世界人口に対して安定的な食糧供給の維持は本質的かつ危機的な課題だ。日本も海外からの食料購買力が低下していく中、国内農業の重要性はより高まっている。一方で、世界レベルの気候変動が改めて深刻な課題として注目され、農業分野がもつ影響と果たすべき役割が問われてきている。こうした中、プラントヘルス企業である弊社の果たすべき役割と期待はますます大きくなっていると感じている。イノベーションで日本農業に更に貢献していきたい」


 ――シンジェンタジャパンとしてのビジョン、中期計画は。


「シンジェンタジャパンは、ウイニング・カルチャーを基盤として日本農業の20年後の未来を開拓するFuture Frontier 2040を策定し、これを基にサステナビリティを加味したアップデートを行っている。その中で中期ビジョンを策定し、今年1月の全社会議では『顧客課題を解決する〝ジャパン・イノベーション〟を創出して、唯一無二の価値を認められる存在となっていくことで、全ての分野でナンバー1を目指す』ことを示し、売上やシェアのみならず、イノベーション創出やお客様の声に耳を傾けることなど、全分野で№1、リーダーをめざしていくことを全員で確認した」


 ――各事業の方向は。


 「日本の農業と緑地管理の差し迫った課題は、生産者が激減する中での、生産力及び緑地管理力の維持だ。アグリビジネス事業では、水稲湛水直播向けソリューション『RISOCARE』を推進し、規模拡大を実現するイノベーションを提供していく。リゾケアXLは生産現場からも非常に好評で今年も30府県以上で実証が予定される。普及面積10万haを目指し〝湛直ならRISOCARE〟と言われる技術にしたい」
「コアビジネスの化学農薬の分野でも、新規殺菌剤ミラビスの混合剤、新規殺虫剤サイモディス、エレスタールの開発を進めている。また、新規シロアリ防除剤アルトリセット匠(たくみ)を2月に上市し、新規芝用殺虫剤アテグゾの開発を進めている。野菜種子事業では環境制御された大規模植物工場や大型菜園が進んでおり、これらに対応した生育速度や生理障害に強いレタスやユニークな形状と高糖度のトマトの推進に注力している」


 ――サステナビリティ戦略について。

 
 「2013年に業界に先駆けて包括的な持続可能性の計画を打ち出したグッドグロースプランを基に今年4月、サステナビリティを長期的な戦略の中核とする4つの優先課題:「より高い収量と環境負荷低減の両立」「土壌の自然の再生」「農村繁栄の向上」「持続可能な事業活動」を発表した。サステナビリティは環境負荷低減だけではない。生産者が激減する中では生産性向上も非常に重要だ。シンジェンタでは事業戦略とサステナビリティを同じ土台に置いている」


 ――散布機への対応。


 「省力防除に有効なドローン散布だが、野菜・果樹で利用が進まない要因の一つに、使用できる薬剤が少ないことがある。弊社では積極的に薬剤の拡充を図っており、『無人航空機散布』を取得している製品は水稲以外の作物園芸・果樹分野を中心に16製品で延べ118の作物・病害虫数(2024年2月現在)。今後も生産者のニーズを捉えながら適用拡大を継続していく。またDJI社とは、技術情報を共有し、散布マニュアルを作成して安全な使用をサポートしている」


 ――バイオスティミュラント(以下BS)の可能性。


 「BSはこれからの農業生産に重要な資材だ。シンジェンタは世界のBS最大手企業の一つであり、日本では、当社初のBS製品『アビオスリー』を北海道で先行上市した。大豆など畑作物の生育改善と収量が期待できる製品で、クルーザーMAXXとも相性が良く、組み合わせることでさらに安定した効果が期待できる。今後のBS製品についても農薬を含む栽培プログラムの1部として提案したい。これまでの農薬の売り方とは違うマインドが必要だとも思っている」


 ――シンジェンタジャパンは今年1月、アジア太平洋地区リージョンからスイス本社直轄の組織となったということですが。


 「先日、スイスのグローバル本社を訪問しグローバルリーダーシップチームメンバーと直接意見交換を行ってきた。今回の組織改定により、グローバルで開発される製品、サービス、デジタル技術をより早く日本に展開することが可能になるとともに、グローバル本社からは、日本発のイノベーションが持続可能な農業に貢献し、世界中に展開されることが期待されている。私たちは、日本に根差し、日本の農業に貢献する企業として、生産者に寄り添った魅力的なソリューションを農業現場に提供し続けてまいりたい」
     ◇
 趣味は観戦も含めてスポーツ全般。座右の銘は「楽しきと思うが楽しきもとなり」(松平定信)。そのポジティブシンキングとスポーツマンシップが、小林社長のバイタリティーの源のようだ。家族は夫人とご息女。

【小林久哉(こばやし・ひさや)氏の略歴】

 1968年生まれ。55歳。埼玉県出身。1991年早稲田大学政治経済学部を卒業後、㈱トーメン(現アリスタライフサイエンス㈱)入社、2014年同社代表取締役社長・アジア地域責任者、19年からユーピーエルジャパン(同)社長を兼務。23年9月1日シンジェンタジャパンの代表取締役社長。

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