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狩猟を魅力あるものに 


今年はクマの被害が多く見られた。環境省のまとめによると、10月末時点で、人身被害が165件・181人、死者数も5人となっており、直近10年で最も被害が多かった令和2年度(143件・158人)を超え、死者数も5人と10年で最も多かった令和3年度に並んでいる。こうした状況に加えて、今年は暖冬と見込まれることもあり、冬眠時期がずれるとの見方もある。このため新潟県では、例年11月末で終了するクマ出没特別警報について、来年1月末まで続けることを決めた。全国的にも依然として注意が必要な状況が続いている。
 人身被害の多いクマはもちろんだが、シカやイノシシなども暖冬の影響を受け、被害が拡大することが想定される。また今後、温暖化の加速とともにこうした暖冬の傾向も加速する可能性も高い。そうしたなかでより一層、野生鳥獣対策の重要性は増してくる。
 令和5年度の農作物に関しての被害は、明らかとなってはいないが、農水省が先ごろまとめた令和4年度の被害状況は金額で対前年度4700万円増の155億6300万円。このうち、被害額2位イノシシは同2億7200万円減の36億3800万円と減少した一方、被害額1位のシカは同4億200万円増の64億9900万円と大幅な増加となっている。なお、このほか増加したのはアライグマ(同4200万円増の4億5600万円)、タヌキ(同700万円増の1億3500万円)など。また、経年でみると、イノシシが令和2年度45億5300万円、3年度39億1000万円、4年度36億3800万円と減少しているのに対し、シカは2年度56億4200万円、3年度60億9700万円、4年度64億9900万円と右肩上がりの状況だ。
 こうした状況の背景にあるのは捕獲頭数の増加だと見られる。農水省と環境省がまとめた資料によると、イノシシの推定個体数は令和3年度約72万頭(中央値)で令和5年度の平成23年度からの生息数半減目標(約60万頭)は達成可能と見込まれている。
 一方で、ニホンジカについては、令和3年度約222万頭となっており、令和5年度の目標(約155万頭)達成は難しい状況だ。とはいえ、シカ、イノシシとも捕獲頭数は近年非常に高い水準で推移しており、これを更に拡大させる後押しが重要となる。
 特に狩猟については、免許取得などのハードルの割に合わない仕事だ。狩猟が周囲から尊敬される魅力ある仕事、或いは収入の良い仕事となれば、成り手も増え、捕獲量が増える。ジビエの普及加速や捕獲に対するより手厚い支援や好イメージ作りなど、将来に向けて、今対策を加速させる必要がある。(2023年12月5日 社説)

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