主食用米在庫更に減少へ
農水省は10月19日、食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開催、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(以下、基本指針)の改定について、先ごろ公表された令和5年産米の予想収穫量(関連記事別掲)などをもとに主食用米の需給見通しなどを示した。令和6年6月末の民間在庫は177万t、7年6月末は176万tと見通した。これに対し委員からは妥当との声が多くあり、適当と認める旨の答申を行った。一方、民間在庫量については「まだ多い」との声もあった。
7年6月末176万t 生産力低下 懸念の声も
部会では、はじめに舞立昇治農林水産政務官が「農水省としては米の需給と価格の安定が図られるよう関係者の意見を伺い、きめ細かな情報提供を行いながら需要に応じた生産・販売に必要な取組を推進していく」と挨拶。その後、農産局企画課の武田裕紀課長が今回変更する米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の案を説明した。
今回の変更では、令和5/6年の主食用米等の需給見通しについて、令和5年6月末民間在庫量が197万t、別掲の通り令和5年産主食用米等生産量が662万tと予想されることから主食用米の供給量が859万tとした。生産量は、前回(7月31日)部会の予想から約7万t下回る見通しだ。これは作付け転換が進んだことに加え、梅雨明け以降、北・東日本を中心に記録的な高温で推移したことが影響しているとみられる。
一方、需要量は1人あたりの消費量に人口を乗じる手法で推計し682万tと設定。
この結果、令和6年6月末の民間在庫量は177万tと推計した。
また、合わせて示された令和6/7年の主食用米等の需給見通しでは、前述の通り6年6月末民間在庫が177万t、令和6年産の生産量は今年産の生産量見通しと同水準と仮定して669万tで供給量が847万t。これに対し、需要量は前述と同様に推計し、671万tと見込んだ。
結果、令和7年6月末の在庫量は176万tと前年から1万t減少する見通しを示した。170万t台という数字は直近20年で平成20年の161万tに次ぐ低い水準となる。
部会では、委員からは「これまで適正在庫量180~200万t程度とされてきたが、これは今以上に需要量があった頃の話。在庫率で考えればまだ多いくらいでは」(稲垣光隆委員(金融情報システムセンター理事長)といった意見があったほか、令和5年産の生産量が当初の見通しを下回ったことについて「現場で感じるのは高齢化と担い手不足。市町村別の生産の目安を達成できない市町村が山形県内でも数年前から複数でている。消費の減少のスピードよりも生産力の減退が上回っているのでは」(平田勝越委員(山形県農業法人協会会長))との懸念を示す声もあった。