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井関農機2021年12月期連結決算 売上高6%増1582億円 国内外とも増収増益

井関農機2021年12月期連結決算 売上高6%増1582億円 国内外とも増収増益
井関農機(冨安司郎社長)は2月15日、2021年12月期連結決算を発表した。売上高は前期比88億8700万円(6.0%)増の1581億9200万円。うち国内は同14億8900万円(1.3%)増の1173億9600万円、海外は同73億9800万円(22・2%)増の407億9500万円。営業利益は20億6300万円増と約2倍の41億4700万円、当期純利益は31億9600万円。期末配当は1株30円(復配)の予定。来期も増収・営業増益、期末配当30円を見込んでいる。


 オンライン発表は冨安社長から。冨安社長は2021年12月期業績の要点を「増収増益。国内は消費増税反動減からの回復、経営継続補助金などに伴う需要喚起(前倒需要)と反動、一方で米価下落の影響もあり、下期は伸ばしきれなかった。海外は売上高で過去最高を記録、特に北米・欧州がけん引したが、一方で海外輸送用のコンテナ不足による未出荷など受注残が増大している。収益面では増収による売上総利益の増加があったが原材料価格の高騰の影響が本格化し収益を圧迫した。親会社株主に帰属する当期純利益は、31億9600万円(前期は純損益56億4100万円)」と説明。「期末配当は1株当たり30円、復配の予定」とした。
 また、市場環境について「20年度は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたが、21年度はウィズコロナ対応もあり販売面において影響を緩和しながら進めることができた」と振り返った。
【2021年12月期連結業績の概要】売上高は、前期比88億8700万円(6.0%)増加し、1581億9200万円となった。国内外とも増収増益。国内においては、消費増税反動減からの回復や経営継続補助金などに伴う需要喚起もあり農機製品及び作業機が増加したほか、修理整備等のメンテナンス収入が堅調に推移し、国内売上高は同14億8900万円(1.3%)増の1173億9600万円となった。海外においては、ライフスタイルの変化に伴い、北米では好調なコンパクトトラクタ市場を背景に増加、欧州ではコンシューマー向けを中心に販売が伸長、為替円安影響もあり、両地域で増収となった。また、アジアでは前期末にタイの販売代理店(ISTファームマシナリー社)を連結子会社化したことや、中国向け生産用部品の出荷増などにより、海外売上高は同73億9800万円(22・2%)増の407億9500万円、過去最高となった。ただし北米・欧州においては海上輸送用のコンテナ不足による未出荷など受注残は抱えて今期以降の売上につなげていく。海外売上比率は25・8%。
 営業利益は、増収による売上総利益の増加に加え、前期に計上があった部品在庫評価損の剥落などもあり、前期比20億6300万円(99・0%)増の41億4700万円。経常利益は、為替差損益の好転や持分法投資損失の縮小に加え、受取和解金の計上等により、同29億8400万円(175・3%)増の46億8700万円。親会社株主に帰属する当期純利益は、31億9600万円(前期は固定資産の減損損失を計上し純損失56億4100万円)となった。
 バランスシートは増収増益に加え、売上債権・棚卸資産の減少と仕入れ債務の増加により、前期末比で有利子負債は圧縮、現預金は増加した。
【当期売上高の内訳】
《国内》▽整地用機械(トラクタ、乗用管理機等)=239億3700万円(前期比4.6%増)▽栽培用機械(田植機、野菜移植機)=90億7600万円(同2.3%増)▽収穫調製用機械(コンバイン等)=166億4200万円(同1.4%減)▽作業機・補修用部品・修理収入=433億5800万円(同3.2%増)▽その他農業関連(施設工事等)=243億8200万円(同3.5%減)。
《海外》▽整地用機械(トラクタ等)=308億2000万円(同24・9%増)▽栽培用機械(田植機等)=22億2500万円(同30・8%増)▽収穫調整用機械(コンバイン等)=23億4700万円(同1.8%増)▽作業機・補修用部品・修理収入=36億6000万円(同13・7%増)▽その他農業関連=17億4100万円(同15・9%増)。
【今後の見通し】次期の同社グループを取り巻く環境は、国内外ともに新型コロナウイルス感染症は依然残るものの、オミクロン型変異株は上期中には収束に向かい、社会活動や経済活動も緩やかに回復していくものと仮定している。また、同社グループの販売面における影響は限定的であるものの、サプライチェーンの混乱や生産遅延などのリスクは残るものと考えている。そのような中で、売上面では、国内は、米価下落に伴う農業生産者所得の減少による農機需要への影響等も懸念され、市場は弱含みで推移するものと見ており、農業の構造変化に対応した大型機械、スマート農機に加え、サービス・サポート対応の推進強化と、堅調な部品・修理収入により増収を見込んでいる。海外は、北米、欧州におけるライフスタイルの変化に伴う需要拡大の継続などにより、増収を見込んでいる。収益面では、原材料価格高騰に伴う収益圧迫はあるものの、増収による売上総利益の増加に加え、構造改革と経営効率化の更なる取り組みにより、増益を見込んでいる。
【2022年12月期連結業績予想】海外売上高を中心に前期比増収。利益面では、原材料価格高騰に伴う収益圧迫はあるものの、増収による売上総利益の増加に加え、構造改革と経営効率化の更なる取組みにより増益を見込んでいる。すでに海外では値上げ対応を始めているが、こうした対応は期ずれがあり、22年度も影響は残る。しかし23年度には、そうした効果はしっかりと出てくる。同社グループとしては、国内においては引き続き、webを活用したバーチャル実演会、昨年開始した営農ソリューションサイトAmoniなどによる顧客への幅広い営業活動の工夫、海外においては北米・欧州の旺盛な需要への対応と、ニューノーマルなビジネススタイルへの転換を進めている。
 ▽売上高=1665億円(対前期増減率5.3%増、国内1190億円、海外475億円)▽営業利益=47億円(同13・3%増)▽経常利益=46億円(同1.9%減)▽親会社株主に帰属する当期純利益=31億円▽1株当たり当期純利益=137円12銭▽期末配当=1株30円。
【質疑応答】▽井関農機の有機農業の取組みの位置付け=昨年からつくばみらい市、木更津市、新潟市、島根県,浜田市、山形県の庄内と続けざまに連携協定を結んできた。農水省がみどりの食料システム戦略で示した成長戦略の中で、有機農業の耕作面積を2050年までに25%にという目標を掲げた。
 そうした流れの中で、有機農業は必須となっていくと考えている。収益面に貢献するのは、今いまではないものの、こうした活動は企業の社会的責任であると信じると同時に今後有機農業が1つのビジネスになっていくのも間違いないと考えている。まだまだスタートしたばかりだが、ビジネスモデル化へしっかりと進めていきたい。

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