農水省が茶業振興の基本方針骨子案を発表:国内外の需要に対応する戦略

2025年2月10日、農林水産省は「茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針有識者検討会」を開催し、今後の茶業振興に向けた基本方針の骨子案を発表した。この基本方針は、国内の茶業における消費減少や生産者の高齢化、海外需要の増加など、さまざまな課題に対応するための戦略を示している。
茶業の現状と課題
近年、日本国内でのお茶の消費は生活様式の変化により減少傾向にある。これに伴い、茶価の低迷が続いており、生産者の収益圧迫が懸念されている。一方で、お茶の輸出は過去最高を更新しており、特に抹茶などの需要が海外で増加している。そのため、海外市場に向けた輸出拡大の対応が急務となっている。しかし、茶園の高齢化や労働力不足といった問題により、生産面積の減少が懸念され、今後の生産量に影響を与える可能性がある。
基本方針骨子案の概要
農水省は、以下の4つの方向性を掲げ、茶業振興を推進するための施策を示している。
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海外市場の需要に応じた生産法の転換
- 抹茶の原料となるてん茶への茶種転換や、有機栽培など、変化する需要に対応した生産法の推進。
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生産性向上を図るための施策
- 茶園の集積・集約化、基盤整備、スマート農業技術の開発・導入を進め、生産性の向上を目指す。
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輸出拡大と文化的プロモーション
- 海外でのお茶文化の普及と輸出拡大を図り、輸出先国の規制に対応するための施策を強化。
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伝統的な飲み方の継承と消費拡大
- 日本の伝統的な急須での飲み方の継承と共に、多様な消費スタイルに対応し、国内外の消費拡大に向けた情報発信を推進。
具体的施策と地域活性化
中山間地域では、地域特有の玉緑茶や釜炒り茶など、特色ある高品質な茶の生産を推進する。また、地域での体験型観光や産地形成も進め、地域経済の活性化に繋げていく方針である。
生産目標と今後の展開
新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、茶業の生産数量目標も設定され、今後の茶業の成長を支えるための具体的な数値目標が策定される予定である。