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30年に3倍539億円 スマ農市場が大きな伸び

30年に3倍539億円 スマ農市場が大きな伸び

 スマート化関連機器・システムの市場が2030年には539億円になるとの予測が㈱富士経済の調査で明らかになった。同社がまとめた「アグリ&水産養殖ビジネスの現状と将来展望2024」による。ここでのスマート化関連機器・システムとは栽培環境モニタリングシステム、水田水管理システム、GNSSガイダンスシステム/自動操舵システム、ロボット農機、除草・抑草・収穫・搬送ロボット、農業用ドローン/ドローン活用サービス、生産管理システム――を指す。
 2024年見込みについては、201億円で対前年比13・6%増を見込んだ。また、前述の通り、2030年の予測は2023年比で3倍の539億円となるとの予測を立てた。スマート化関連機器/システムは大きな伸びが期待されており、各品目ともに順調に伸びると見られる。栽培環境モニタリングシステムや自動操舵システム、農業用ドローン、生産管理システムはすでに一定の市場が形成され、今後の更なる普及に期待。ロボット農機や除草・抑草・収穫・搬送ロボットは技術面、価格面の改善やサービスの拡充が進み、市場の本格化が予想される、と分析している。
 このほか、注目の農業関連20品目のうち、施設/プラント(人工光型植物工場、養液栽培プラント、ガラス/フィルムハウス)は、2024年見込みが377億円で同5・3%増。2030年予測は485億円。施設園芸構成機器/システム(栽培環境制御装置、灌水/給液管理装置、栽培用空調機器、農業用光源(植物育成用光源、病害虫防除用光源))は24年見込み同3・8%増の81億円、2030年予測が120億円。施設/プラント、施設園芸構成機器/システム市場は、建設や運営コストの高騰により設備投資に消極的な事業者も多かったことから、2023年は縮小。しかし、農業従事者の高齢化や離農による就農人口の減少などが進む中、栽培施設の集約化や企業による農業参入に伴う大規模栽培施設の増加が期待されるため、2024年以降は市場回復に向かうと見れられる、などと分析している。

バイオ炭 30年には5.5倍に

  環境配慮型資材/ビジネス(生物農薬(天敵農薬、微生物農薬、RNA農薬)、バイオスティミュラント、下水汚泥肥料(リン回収由来肥料)、バイオ炭、営農型太陽光発電、農業分野のカーボンクレジットビジネス)は2024年見込みが同2・8%増の613億円、2030年予測が742億円などとなっている。
 環境配慮型資材/ビジネスは生産者や消費者の環境配慮・脱炭素化やSDGsへの社会的意識が徐々に高まっているとともに、農水省の「みどり戦略」などの追い風も受け、堅調な伸びが予測された。
 また、環境配慮型資材の一つであるバイオ炭については、特に注目市場として取り上げている。バイオ炭はJ―クレジット制度の「バイオ炭の農地施用」として制定されたことから新たな用途で注目度が高まっている。J―クレジットでの実績は現状まだ小さいものの、今後は拡大が期待される。また、微生物や有機肥料を付加した高機能バイオ炭の登場により、土壌改良資材としても改めて注目されている。みどり戦略も追い風となり、活用が増えるため、中長期的には大幅な市場拡大が予測される。
 こうしたことから2024年の見込みは同4%増の26億円、2030年予測は138億円で2023年比5・5倍にのぼる予測している。
 このほか、農業分野のカーボンクレジットビジネスのうち、中干し期間延長については、ベンチャー企業から大手企業まで認証を受けており、付加価値の高い「自然系クレジット」として今後の市場活性化が期待される。現状は、環境意識の高い先進的な生産者による取組が中心であるが、今後は農産物生産・販売以外での収益向上を目的とした取組も増え、2026年度のGXリーグの排出量取引制度「GX―ETS」の本格稼働も追い風となるとみられる。
 これらの状況から、2024年見込みはバイオ炭施用が僅少、中干し期間延長が1億円。2030年予測がバイオ炭3億円、中干し延長が12億円と予測した。

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