農地の過半をスマ農に 開発普及・導入支援 スマ農活用法基本方針案 品目毎に重点開発目標
労働生産性5%向上生産計画の要件
農水省は10月1日に施行予定のスマート農業技術活用促進法に関連して、生産方式革新事業活動や開発供給事業の促進の意義及び目標、その実施に関する基本的な事項などを定めた国の基本方針案を示した。方針では令和12年度までにわが国農業の過半でスマート農業が実践(技術が活用)されていることを掲げた。7月31日に開催された食料・農業・農村政策審議会企画部会スマート農業技術活用促進小委員会において示されたもの。基本方針は今後パブリックコメントを予定している。
基本方針案では、生産方式革新事業活動と開発供給事業それぞれについて、促進の意義及び目標、基本的な事項をまとめている。
生産方式革新事業活動については、経営耕地面積を基本に算出するスマート農業技術の活用割合を令和12年度までに50%以上に向上させることを目標に設定した。なお、現状については「今回、スマート農業技術についてはじめて法律で定義したことからまだその活用を特定できている統計はないが、各種統計から推計すると、概ね20%。統計の手法については今後検討する」(農水省)という。
主な内容として、規模については、経営の大小や形態にかかわらず農業者の減少に対応していくため、画一的な下限面積を設けず、作付面積等の概ね過半で取り組み、かつ農作業の効率化の観点から費用対効果が得られる規模(2以上の農業者が望ましい)と設定。導入する新たな生産方式の種類によっては取り組み初期の試行錯誤等も想定されることも踏まえ、実施期間を原則5年位内とし、目標設定を計画全体で農業の労働生産性を5%以上向上させることを求める。
一方、開発供給事業については、意義及び目標として、営農類型ごとに省力化または高度化の必要性が特に高く、かつ、スマート農業技術の実用化が不十分な農作業について、令和12年度までに実用化することで生産性の向上に関する目標を達成する技術体系を構築する、と設定。
主な内容として、国が示す開発供給事業の促進の目標(重点開発目標)の達成に資するものであり、農作業の慣行的方法と比べて品質または費用の面で優位性を有すること。そして、農業者が継続して適切に使用できるよう必要な措置を実施するものであることを求めている。実施期間は5年以内(新品種の育成など実施に相当な期間を要すると認められる場合は10年以内で設定可能)で、労働時間の削減など農業の生産性向上に関する目標を数値で設定する及び販売・供給の数量など普及に関する目標を数値で設定することを要件としている。
重点開発目標については、例えば収穫及び運搬作業では自動収穫機を想定し労働時間80%削減などと設定している(詳細は次号以降紹介)。
このほか、生産方式革新活動と開発供給事業の連携に向け、研究開発から現場実装まで様々な関係者グループの組成を進める枠組みとして、「スマート農業技術活用促進協議会」(仮称)を設置する。
なお、基本方針案については、今後、小委員会での議論を受け修正後、パブリックコメントを実施。また、今後予定されている都道府県別の説明会で基本方針の内容の周知及び関係者からの意見聴取を進める。その後、10月1日の法律施行に合わせ公表する。