農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 火曜日発行
 >  > 断面から土壌を観る 緑肥作物の情報提供も 北海道土を考える会

断面から土壌を観る 緑肥作物の情報提供も 北海道土を考える会

断面から土壌を観る 緑肥作物の情報提供も  北海道土を考える会

 北海道土を考える会は7月10日、第47回夏期研修会を開催(本紙7月16日号既報)。各種情報提供が行われた中、ほ場断面調査を実施した。サブソイラ、ハーフソイラ、プラソイラを用い同条件で心土破砕した試験ほ場に播種した3種類の緑肥の根張りの違いを比較。帯広畜産大学グローバルアグロメディシン研究センターの谷昌幸教授がほ場の土質を理解する大切さを述べた上で「最適な機械と植物の力の両方を活かして土壌改良を行うことが作物の生産性向上に繋がる」と説明した。

  土壌断面調査の前に、雪印種苗事業本部事業統括室種苗グループで、緑肥の普及担当として全国を回っている和田美由紀氏が『緑肥利用について』と題して北海道では見られない緑肥の使い方や種類を紹介した。
 和田氏は緑肥作物の効果を①土作り②カバークロップ利用による飛砂・土壌流亡・雑草対策③景観美化・養蜂資源④バンカープランツとしての強風対策・農薬飛散防止と、4つのカテゴリーに大別。その中の土作りについて物理性・化学性・生物性の3つの側面にアプローチして土の改善を図ることが最大のメリットと説明し、緑肥作物の根がもたらす効果や導入事例を紹介した。
 各地で使われている代表的な緑肥については、北海道では畑作物の間にエンバク、青森県ではニンニクの前にソルガム、千葉県ではニンジン後にセンチュウ抑制効果としてエンバク、兵庫県では水稲の裏作としてレンゲ代わりにマメ科のヘアリーベッチが利用されて減化学肥料もしくは無肥料栽培でコメを育ててブランド化していることや、長崎県はバレイショ収穫後にソルガムを撒いて表土の流失防止を図っていることを紹介した。また、茨城県のほ場で夏のゲリラ豪雨後の水の抜け方が良い現象を確認した事例をあげ、「地上部は緑肥作物で覆われることで雑草を抑制し、鋤き込み後も根の穴が残るので透水性も維持されるなど、緑肥作物は物理性の改善に寄与する」と述べた。
 ほ場にマッチする緑肥は何かと質問を受けた際は、①目的②栽培時期③機械の観点で選択することをすすめていると言い、「最後の機械は忘れられがちで、都府県では小型のトラクタしか持っておらず、裁断機もないという農家さんも多い。お手持ちの機械に合わせて緑肥を入れられるかがポイント」などと述べた。
 続いて、農研機構の農業環境研究部門土壌資源・管理グループグループ長の前島勇治氏が土壌断面調査を行った試験ほ場のあるホワイト農場の土壌の素性や成り立ちを説明し、帯広畜産大学グローバルアグロメディシン研究センターの谷教授が 〝良い土壌の条件で最も重要なのは通気性と作物の根張りの良い土壌で、土中に酸素があることが大事〟〝土の粒子と粒子の隙間が0.1㎜以上では植物には無効な重力水になる〟といった空気と水の関係を論じた後に、試験ほ場で具体的な説明を行った。
 試験ほ場は、3本爪80㎝幅でサブソイラ・ハーフソイラ・プラソイラを30~35㎝の深さで時速2.6㎞で入れた後、ソルガム・ヘイオーツ・カラシナの緑肥作物を2月に播種。無施工区も含め、どの緑肥の根がどのように土中に入っているかを考察した。谷教授によると、心土破砕後に緑肥を撒くことで根が亀裂を閉じることを防ぎ、排水と通気を確保する緑肥栽培の利点をあげ、このほ場ではサブソイラを使った場所が横方向に亀裂が走り、隙間に緑肥の根が深くまで伸びていることが見られた点を解説。参加者は試験ほ場に入って根張り具合いなどを確認していた。「大切なのは土を調べて特性を理解すること。その上で作業機を選択しなければ逆効果になってしまうことが実感できたと思う。今後も北海道土を考える会さんとスガノ農機さんの協力を得て、作業速度を変えればどうなるかなどの実証を行いたい」と述べた。

関連記事

AGRI EXPO新潟 ㉖年2月朱鷺メッセで初開催 

国際農機 作業時の不便解消に 実用的農機パーツを発売

国際農機 作業時の不便解消に 実用的農機パーツを発売

クボタ、大阪・関西万博2025で「未来の食と農」エリアを展示|汎用プラットフォームロボットがスマート農業の未来を描く

クボタ、大阪・関西万博2025で「未来の食と農」エリアを展示|汎用プラットフォームロボットがスマート農業の未来を描く

サタケ、「KOMECT(コメクト)」を第3回九州農業WEEKに初出展|DXを活用した次世代型生産支援システム

サタケ、「KOMECT(コメクト)」を第3回九州農業WEEKに初出展|DXを活用した次世代型生産支援システム