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みどり戦略達成へ施策点検を 

令和3年にみどりの食料システム戦略が策定されて丸3年が経過した。「これから」の部分はまだまだ多くあるものの、着実に取組の輪は広がっており、今後さらなる横展開に期待したいところだ。
 改めて具体的にみてみると、みどりの食料システム法に基づく生産者の認定は45道府県で1万5690人(令和6年5月末)となっている。ただし、県によって1ケタのところもあれば、福井県のように9000人を超える認定者がいるところもあり、取組には濃淡があるようだ。また、消費者への理解醸成では、今年3月から農産物の環境負荷低減の取組の見える化に向け、ラベル「みえるらべる」の展開がスタート。350カ所以上でラベルを表示した商品が販売されるなど、その取組が着実にひろがっている。
 技術面でも、利用可能な技術が増加中だ。本紙でも何度か取り上げているが農水省がまとめた「みどりの食料システム戦略技術カタログ」は令和4年1月のVer.1・0公表以降、3回の改定が行われており、最新のVer.4・0では、現在普及可能な技術268件、2030年までに利用可能な技術77件、みどり認定を受けた基盤確立事業64件の計409件がラインナップされている。2030年までに利用可能な技術」から「現在普及可能な技術」に移行したものもあり、まさに積み重ねを感じるところだ。
 こうした取組が広がる一方で、戦略において定められた2030年及び2050年のKPIの達成状況については、まだまだ不十分なところも多い。
 現状の達成状況について、2022年時点のKPIの実績値をみてみると、農林業機械の電化等については、自動操舵システムが6・1%で同1・4ポイント上昇(2030年目標50%)、電動草刈機は19・6%で同3・5ポイント上昇(同50%)。化学農薬使用量(リスク換算)の低減では、約4・7%低減で同4・3ポイント上昇(同10%低減)。先ごろ公表されたが(本紙既報)、事業系食品ロスについては、2030年目標を達成したことが明らかにされている。このほか、加温面積に占めるハイブリッド型園芸施設の割合や化学肥料の使用量削減量については、3―4月公表予定だったが、現在精査中とのことで、8月頃に開催予定のみどり戦略に関する会議のなかで示される予定だ。なお、これらの2021年の実績はハイブリッド型園芸施設が10・6%、化学肥料が85万t(約6%)の削減となっている。
 みどり戦略の目標はかなり意欲的な数値が掲げられている。だからこそ改めてこれまでの取組を振り返り、より効果の高い施策へと転換できるよう施策の点検を期待したいところだ。

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