農水省、「作況指数」を廃止へ―新指標「作況単収指数」を導入予定
農水省、「作況指数」を廃止へ―新指標「作況単収指数」を導入予定
2025年7月、農林水産省(農水省)が総務省に申請した「作況指数の廃止」について、総務省統計委員会で正式に議論が行われた。
委員会では廃止を「妥当」と判断し、代替指標として新たに「作況単収指数」を公表する案についても検討のうえ了承する旨を答申。今後、総務省内での正式な決定手続きが進められる見通しだ。
「作況指数」廃止の理由
農水省によると、従来の作況指数は以下の課題を抱えていた。
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「平年単収」が30年間という長期の平均値に基づいており、近年の気候変動や急激な生産変化を反映できない
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作成プロセスが複雑でわかりにくい
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「収穫量全体の多少を示す指数」と誤解されやすい
これらの問題を踏まえ、農水省は作況指数の公表取りやめを総務省に申請。統計委員会での審議を経て、今回の答申に至った。
新指標「作況単収指数」とは
委員会では、指数の廃止を「やむを得ない」としつつも、中長期的な生産計画や投資判断のために必要な指標の維持を要請。
これを受け、農水省が提案したのが新たな「作況単収指数」である。
「作況単収指数」は、直近5年間から豊凶年を除いた3年間のデータを基準とし、単位面積あたりの収量を比較して算出する方式。
従来の「収穫量全体」を示すものではなく、「単位面積あたりの収量比較」に焦点を当てており、より実態を反映した形になる。
この「5中3方式」は試行的なものであり、今後は生産現場や専門家の意見を取り入れて改良が進められる予定だ。統計委員会はこの新指標についても「適当」と答申している。
初の公表は来月予定
小泉農相は9月30日の定例会見で、9月25日現在の予想収穫量に基づくデータを来月に初公表する方針を明らかにした。
新たな「作況単収指数」の導入は、農業統計の精度向上と気候変動対応の観点から注目されている。
米の収穫量表示も見直しへ
さらに、同委員会では「収穫量(主食用)」の集計方法についても変更を答申。
これまでの1.70mmふるい幅による集計**に加え、生産者のふるい目幅を基準とした「収穫量(主食用(生産者ふるい上米))」を新設。
従来の1.70mm幅によるものは「収穫量(主食用(生産者ふるい下米含む))」と改称される。
また、「くず米重」は「ふるい下米重」に変更される見通しだ。
水稲以外ではブロッコリーも対象に
水稲以外の農作物では、ブロッコリーが新たに指定野菜に追加されることに伴い、他の指定野菜と同様に統計集計が強化されることが決まった。