「市場を我々が作る」諸岡のキーパーソン2人が語る
自走式木材破砕機をバックに右から若井常務取締役、奥村取締役
諸岡=茨城県龍ケ崎市庄兵衛新田町358=は、今年4月に諸岡昇氏が代表取締役社長に就任した。35年ぶりの社長交代に続き、5月27日の取締役会及び株主総会で新役員体制を決定。目玉は役員の若返りとスリム化だ。取締役の若井光浩生産技術本部長が常務取締役、執行役員の奥村広明管理本部長兼海外事業統括室室長が取締役に昇任。躍進の鍵を握る二人に聞いた。
若井常務取締役はご存知の方も多いと想像し、奥村取締役を紹介。奥村氏は福岡生まれの山口育ちで現在57歳。東京大学経済学部卒業後、現在の三菱UFJ銀行に入社。通算で10年を超えるドイツ・アメリカ駐在を含む約30年の銀行員生活を経て2021年4月に諸岡へ入社し、管理本部財務部長、管理本部副本部長を歴任し、この度の拝命となった。「当時社長だった現諸岡会長がESG経営やSDGsなどの非財務を強調し、〝普通の中小企業とは違う〟と抱いた印象は今も変わらない。国内のキャリアダンプ市場が右肩上がりに進むと予測できない中、これまでのユニークなトライアルを消すのではなく、限られた経営資源をどこに集中させるかが大事」と抱負を述べた。以下、今後の成長への鍵を語った。
若井常務取締役「〝環境と共に生きる〟。まさに環境の中で生きてきたことを今一度見直す時期がきた。地球環境の変化と共に生活スタイルも見直され、破棄されてきたものが宝に変わっている。その一つが林地残材で、弊社の木材破砕機が脚光を浴びている。我々の分野はお客様の顔を見て製造販売ができる。先日も破砕機の新たな活用法を阿見のデモセンターで行い喜んで帰られた。諸岡が成長できたのはお客様に近い場所で活動してきたからで、今後もお客様の需要に叶う製品をしっかりお届けする」。
奥村取締役「売上で言うと海外を伸ばすことが大事になるが、地域によって我々の浸透度は全く異なる。それぞれの地域で我々のプレゼンスを高めることは重要だが今後は市場を作りに行くという発想が大事で、新たに我々の機械を使う顧客を戦略的に作っていく。海外でも林業でチップ生成は当然のように行われているが、その発想すらない地域もあり、そこに我々をどう認知させるかだ。我々の規模で全方向に進むことは難しいので、まずはアメリカから始めたい。アメリカはモノづくりをしていたが販売会社を持っていなかったためエンドユーザーの情報が構造的に掴めなかった。それが4月から手に入るようになったことは大きく、活かせばチャンスになる」。
諸岡新社長は就任挨拶で自社の足回りを活かした協力会社との協業の拡大などの重点項目を述べた。その実現に執行体制だけでなく組織全体にもメンテナンスを施し、適材適所の人員配置と共に情報共有のスリム化を実行。各本部の会議には3名が必ず出席して縦割り的な風潮を打破し全社一体として事業展開する体制作りに着手し、〝フレックス&スピーディーの合言葉を口にする社員も出てきたという。「一歩一歩会社を理想形に近づけ、奥が深いグローバル環境ビジネスを追求したい」と若井常務取締役が締めた。