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全米販 生産との連携強化 米穀産業活性化へビジョン

全米販 生産との連携強化 米穀産業活性化へビジョン
米穀卸売業者が主な組合員である全国米穀販売事業共済協同組合はこのほど総会を開催、役員改選を行い新理事長に山﨑元裕氏(ヤマタネ社長)が就任した。12日には記者会見を開催、総会の概要を説明するとともに、先ごろまとめた米穀流通2040ビジョンについて説明した。
 同ビジョンは約20年後を見据え、現状を看過した場合に予想される最悪の「現実的シナリオ」と魅力的な米穀流通の姿を想い描いた「野心的シナリオ」の2つを作成。
 現実的シナリオでは、2040年のコメ需要は375万t(2020年比41%減)、生産者は30万人程度(同65%減)で生産量は363万tとなり、2030年代には国内需要量を国産だけでは賄いきれなくなる可能性がある。こうした需要・生産量の減少に伴う流通量の減少により米穀流通は営業赤字に陥る、などとした。
 これに対し、野心的シナリオでは、国内需要量722万t(同13・4%増)、米穀市場規模5・97兆円(同18%増)と見通した。その実現のため、①需要拡大②生産支援③流通改革―の3点に取り組む必要があるとした。具体的には①では、輸出推進支援(輸出に関するハードルの抽出、規制緩和に向けた働きかけ等)やコメ市場の育成。②の生産支援では生産者における流通に対するニーズの把握や国内生産量の確保に向けた労働力獲得支援の一元化などを挙げている。更に③の流通改革では生産から消費までの垂直連携の強化を挙げ、生産者との連携強化などを進めるといった方向性を示している。
 また、会見では近年の米相場についても問われた。山﨑理事長は「現状高騰しているのはスポット価格であり、相対価格はそこまで上がっていない。スポットが上がっている要因としては、我々流通側の影響が大きいと考えている。『食料』としてのコメは足りているが、『食品』『嗜好品』としてのコメはタイトになっている。タイトになっていることに流通側が踊らされタイトに拍車がかかっている状況」「平成5年産の時を振り返ると、当時は『有事』とされ、輸入が始まったが、翌年はコメ余りとなった。そうした状況がまた来ていると感じている」と述べた。具体的には「令和5年産の作柄の影響もあり、低価格帯が少なく、ショートし始めた。それがきっかけとなり、徐々に価格帯が上昇。低価格帯が米屋から仕入れられなくなってきた食堂などがスーパーで購入。スーパーでの需要が上がってきて、『なくなってきているから押さえよう』という動きが重なって起きている」と説明。そのうえで「今は少し収まってきているが懸念されるのは今年の状況。雨が少ない状況が続いている。となると、6年産を早めに確保しようと動き始めるところが出てきてショート感が出てきてしまう。ただし、繰り返すが『食料』としてのコメは足りている」などとした。
 また、記者からのコメ需要の減少が下げ止まったのではとの問いに対しては「確かに需要は増えていると思う。一つの要因は若者がご飯を食べ始めていること。学校給食において米飯給食を進めてきた効果が現れてきていると感じている。若い人が変わってきてトレンドも増加に転じると期待している」などと答えた。
 加えて、「米価はもっと上げるべきと考えている。ただし今の上がり方は産地に還っておらず良くない。資材も燃料も肥料も物流費も上がっている中、生産者は一所懸命それを吸収している。しかし、それが稲作の魅力を減らす要因の一つでもある。米価が上がれば物流コストもしっかり払うことができ人手不足も解消できる。好循環を生み出せる」などとした。

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