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技術光る果樹経営者たち こまめな温度管理で 生育差小さく作業効率も向上

技術光る果樹経営者たち こまめな温度管理で 生育差小さく作業効率も向上
果樹作の生産技術や経営方式等において、他の模範となる先進的な農業者や生産団体等を表彰する「全国果樹技術・経営コンクール」(本紙一部既報)。本紙では回を分け、令和5年度(第25回)の受賞者の取組を紹介する。
【農産局長賞=高山知己・育子氏(大阪府太子町)】高山知己氏は、会社勤務を経て平成11年に父の農業を手伝うために就農。現在太子町内の5カ所に点在する計105aのぶどう園を夫婦と長男の3人で営んでいる。大阪はデラウエア中心の産地だが、高山氏はデラウエア以外にも巨峰、ピオーネ、シャインマスカットといった大粒ぶどうの栽培にも力を入れている。また、少ない人数で栽培を行うため、加温栽培と無加温栽培を組み合わせることで作業を分散。加温が合計45a(デラウエア、巨峰、シャインマスカット)、無加温が60a(デラウエア、巨峰、ピオーネ、シャインマスカット、その他)で、全て施設栽培となっている。
 知己氏の父親は大阪府「農の匠」に選ばれており、高い栽培技術が必要なデラウエアの超早期栽培に取り組むと同時に、巨峰やピオーネといった大粒系ぶどうを先進的に取り入れていた。当時の出荷先はほぼ全量、JAを通じての市場出荷。
 知己氏は就農後、父から栽培技術を学ぶと同時にデラウエアや巨峰のさらなる早期出荷技術に取り組んだ。また、ぶどう園を新規に開園するとともに、太子町内に当時は少なかった個人経営のぶどう直売所を開店。現在の売上の大半は直売所での販売が占めている。味の良さに加え、来店客が楽しんで買い物できるよう、直売所に常に複数の品種が並ぶようにするなど工夫をしている。
 現在は直売所での販売が約7割、JAを通じた市場出荷が3割となっており、直売所でぶどうが途切れなく販売できるように、品種構成や作型の割合を考えている。
 傾斜地の多い高山氏のハウスは「波状型ハウス」と呼ばれるぶどう棚とハウスが一体化した構造となっているもの。波状型ハウスは斜面や不整形地でも設置可能なハウスであり、設置費用もアーチ型の半分程度で済む。また、傾斜地のハウスでは暖気が上の方にたまりやすいので、ハウスの途中にビニルシートで小部屋状の仕切りを作り温度が均一になるよう調整。状況に合わせて仕切りの位置を移動させ、暖房機のダクト配置を変えるなど、こまめに調整を行っており、温度管理が非常に丁寧。このため、ハウス内の温度差が少なくなり、生育の差も小さくなり、ジベレリン処理が一斉に行えるなど作業効率も良くなっている。
 栽培の省力化に向けてはハウス3棟(計43a)に自動開閉装置を導入。これにより、ハウスの開閉にかかる労力を大幅に省力化できると同時に更に細かな温度管理の実施が可能となった。
 高山氏の農地は広く散在していることから、農地集約を行い、効率化することが長年の目標。現在も散在状態だが、自動換気装置を導入することでさらなる省力化を目指すこととしている。
【全国果樹研究連合会会長賞=松田博喜氏(宮崎県日之影町)】松田氏は、ハウス完熟きんかんが13a、ゆずが50aを本人と父、臨時雇用職員で管理。きんかん栽培は繁忙期が9月(摘果作業)と1~3月(収穫作業)だが、摘果は8月から粗摘果、本摘果、仕上げ摘果と段階を踏んで作業することで雇用に空きの期間が生じないように工夫し、作業量の平準化を図っている。また、毎日ハウスを見回り、生育状況を細かく確認。作業の進捗状況や生育ステージを踏まえたうえで作業計画を立て、効率よく栽培管理を行っている。
 日之影町は、県内の他産地と比べると気温が低いうえ、日変化も大きく温度管理が困難なことから、他産地より出荷が遅れる傾向にある。そうしたなかでも、松田氏は①周年の適正温度管理(天窓の自動開閉機能や加温機を用いた施設温度管理)②低樹高化による作業の効率化、品質向上③早期剪定による次年度栽培の早進化④早期摘果による果実肥大促進⑤周年の病害虫・施肥管理⑥夏期の遮光資材導入による樹勢維持⑦地域内雇用労働力の活用による作業の効率化に取組み、適期適作業を着実に実施することで高品質果実の早期出荷を実現。高単価で安定した農業経営につなげている。

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