新潟クボタ・吉田丈夫新社長に聞く 「人」との繋がり軸に 米輸出に次ぐ新たな柱を

今年1月1日に新潟クボタの代表取締役社長に就任した吉田丈夫氏に、農業新時代創造に向けた意気込みを伺った。
――これまでの足跡。
「早稲田大学法学部を卒業後、2009年4月に㈱ディー・エヌ・エーに入社して社会人生活を始めた。その後、クボタに2012年4月からお世話になり、3年半の間で様々な経験をさせていただいた。クボタ様にはとても感謝をしている」
――60周年記念式典の冒頭で各方面に向けてメッセージを丁寧に送られたのが印象に残っています。
「お伝えしたかったのが『感謝』。今後も一緒に事業を行っていくにあたり、私の想いを述べた」
――新経営理念の〝人間立社〟に込めた想いとは。
「私たちの事業の主力は販売業で、セールスマンの提案力やサービスマンの技術力など全て〝人〟の付加価値で成り立っている。組織作りも結局は〝人〟であり、人との繋がりを大切にしたいという想いを込めた。実はこの言葉は私の祖父で先々代社長の吉田一夫の造語で、経営理念を言語化する際に一言で伝わる言葉を考えあぐねていた時に飛び込んできたもの」
――新潟農業の現状をどう捉えていますか。
「高齢化や資材費高騰などは県内だけでなく日本農業全体で起こっている課題だ。後継者不足で廃業する裏側で集約が進んでもいることはあらゆる産業で起きている。農業だけが特別なのではなく、むしろそうした社会の変化に他産業よりも早く直面しているのであり、そうであれば、脱却も早くできるのではないかと考えている。新潟農業の課題を強いてあげれば、日本一米価が高い事情が数十年も続き、その成功体験からどう脱却し、切り替われるかだ」
――そのような中、社業を発展させるための方向性は。
「スマート農業推進の方向性は正しいと思っている。また、輸出米の事業が成長し、2012年開始時の40tから昨年は4000tと100倍に増加。全社売上への貢献も大きくなり、柱の事業としてもっと伸ばしたい。米の輸出は勝ちパターンが見えてきたが、農業施設と車輌部門は新たな勝ちパターンを見つけてもらいたい。ドローンや自動操舵など現場から求められる新しい商品の販売にも注力したい」
――KSASについて。
「KSASの活用は、生産者も一定の規模になればデジタルでほ場管理を行わなければならなくなるため、ある程度は自然と進むと思っている。しっかり提案ができる社員の育成にも注力したい」
――100周年を目指すために。
「先日、 経営理念の下で『進むべき道』と『価値観』を明文化した。能動的に行動する社員が現れれば会社はぐっと伸びる。弊社でも、ドローンの情報をいち早く掴み情熱を持って、県内で最も早く教習所を設立してくれた社員のおかげでドローンは県下一となった。そのような活気と才気がある社員が活躍しやすい風通しの良い社風を醸成したい」。
◇
好きな言葉を尋ねると司馬遷「天道是か非か」。公言できるほどの趣味はないというが、今も通勤中に英語学習しているとのこと。奥様と2人家族で、現在39歳。