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目指せ林業プロ 我が社のホープ 父の背中を追いかけて 須藤木材の須藤晃太さん

目指せ林業プロ 我が社のホープ 父の背中を追いかけて 須藤木材の須藤晃太さん

 チェンソーで何本か伐倒してもらった。立派なスギに手際よく受け口などを入れ、狙った方向へ倒していく。「技術があがった実感があり、仕事する上で楽しみが増えてきました」と話す須藤晃太さん(27歳)が今回の主人公。祖父から続く3代目の林業マンで、高崎市を中心とした西毛地区で素材生産業を営む家業の須藤木材=群馬県高崎市箕郷町富岡1607―3=に入社して6年目。父でもある須藤宗一社長(57歳)の背中を追って、技術を磨いている。


 スラッとした出で立ちだったので何かスポーツをしていたのか尋ねてみると、高校、大学時にラグビーに没頭し、高校時には全国大会にも出場したラガーマンだったとのこと。「昔から体を動かすことが好きだった」と、今も週末には友人らと楽しんでいるそうだ。山は幼少の頃から身近に感じながら育ったそうで、「もう亡くなってしまったおじいちゃんに林業機械に乗せてもらったり、抱っこして山に連れてもらったりしてもらい、子どもながら嬉しかったことを覚えています」。
 そんな祖父や父の姿を見ていたため、いつか自分もこの道に入るだろうと思っていた晃太さん。進学した東京農業大学でも林業に関する学科を選択し、卒業論文には高性能林業機械による作業効率や経営効果を研究したそうだ。
 他の事業体で勉強することも考えたが、法人化して事業拡大を考えた父の力に少しでもなればと入社を決断した。当初は親子だからこその意見の食い違いもあったというが、経験値が上がるとともにレベルアップし、認めてもらえるようになった。今では社長を含めた作業員全員で意見を出し合う場にも参加し、現場改善にも参画している。「林業は体だけでなく頭も使います。そこが好き。暑い寒いもあるけど、四季をダイレクトに感じられ、他の仕事にはないところがこの仕事の醍醐味」と晃太さん。
 同社は社長を含めて4名。生産量は年平均5000㎥ほどで推移し、最近は作業量も増えてきた。「それをカバーするには機械力と人材」と須藤社長は言い、特に人材という言葉に力を込める。「機械は買えるけど人材は買うことができない。仕事があっても(機械を)を動かすのは人だから」。
 そうした人材不足を補うべく同社はワンクラス上のハーベスタを導入。飛躍的に生産量が上がったという。晃太さんもそのハーベスタでの造材作業のほかに、チェンソーでの伐倒、グラップルでの集材、フォワーダを使った搬出作業まで一通りの作業をこなしつつ現場管理も行っている。国や県、市町村への申請手続きといった事務作業もこなし、フル稼働という言葉が相応しい仕事ぶりだ。
 フォレストリーダーを取得中と、更なる高みを目指している。「社長の背中を見て技術を高めてきたことが自分の成長に繋がって嬉しい。現場と事務作業をバランスよく両立させ、ゆくゆくは経営に携わりたい」と、しっかり自分のビジョンを持っていた。
     ◇
 本レポートは各地のJ―クレジット発行体を取材した「カーボン・オフセットで森づくり」に続き、各素材生産業者や森林組合などから若手林業従事者を紹介いただき、林業に入った感想などを聞くと共に、各事業体代表者などから人材獲得や育成について取り組んでいる工夫などを聞く。

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