農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 火曜日発行
 >  > 学ぼう!正しい安全知識 熱中症が増加傾向 農作業 安全会議死亡事故3年で半減へ

学ぼう!正しい安全知識 熱中症が増加傾向 農作業 安全会議死亡事故3年で半減へ

学ぼう!正しい安全知識 熱中症が増加傾向 農作業 安全会議死亡事故3年で半減へ

 農水省は2月22日、令和4年の農作業死亡事故の取りまとめを公表した。農作業死亡事故者は前年から4人減の238人となった。前年から減少したものの就業者10万人あたりでは11・1人と増加傾向が続いている。こうしたなか同日には令和5年度の農作業安全対策全国推進会議が開かれ、農作業安全の新たな目標として令和8年までに令和4年の死亡事故238人からの半減(119人)を目指すこと、新たな方向性として農作業安全研修と熱中症対策に注力することなどが示された。

 令和4年の農作業事故死亡者は238人で前年から4人減少した。事故区分別では農業機械作業によるものが152人(農作業死亡事故全体の63・9%)。機械・施設以外の作業によるものが81人で、このうち、特に多かったのが熱中症で29人。熱中症の農作業死亡事故に占める割合が増加傾向にあることから機械作業対策に加え、熱中症対策の強化が必要だ。
 こうしたなか、同日、省内の講堂で令和5年度農作業安全対策全国推進会議が開かれた。
 会議では、前述の令和4年の農作業死亡事故の調査結果が示されたほか、令和6年度の農作業安全対策の推進方針等について農水省が説明。
令和2年に設定した令和4年までに農業機械作業に係る死亡事故を平成29年比で半減(211人から105人)との目標が達成できなかったことから、新たな目標を設定。令和4年の農作業死亡事故238人を基準として令和8年までに半減(119人)を目指すとした。
 その実現に向け、対策の推進方針が抜本的に見直された。これまで春と秋に行っていた「農作業安全確認運動」という形ではなく、増加傾向にある「熱中症」の対策と農作業安全研修の2つに焦点をあてる。重点推進テーマは「学ぼう!正しい安全知識~機械作業の安全対策と熱中症の予防策~」。5月1日から7月31日を「熱中症対策研修実施強化期間」、12月1日から翌年2月28日までを「農作業安全研修実施強化期間」と設定。全ての都道府県域で研修実施回数を令和5年度よりも増加させる。
 農水省によると、過去の都道府県別の農作業事故死亡者数と都道府県の農作業安全研修の実施状況について分析したところ、より多くの農業者に対し研修を実施した都道府県の方が平均死亡者数の減少が大きくなったという。すなわち、農作業安全に関する研修の実施が死亡事故予防に有効だと考えられた。このため、今回、研修の充実にかじを切った形だ。
 熱中症対策研修は農林水産研修所つくば館で6月ごろオンライン研修を実施する他、各研修等に熱中症対策に係る研修を追加するなど、「+熱中症対策」による研修を実施する。
 一方、農業安全研修については、農閑期(12月~2月)を強化期間として設定。農作業安全に関する指導者を活用した研修を実施する。研修では最大の事故要因である農業機械事故の安全知識の向上を主なテーマとし、「基礎研修」のほか、必要に応じて農機の操作方法についての研修(実践研修)を実施する。なお、令和6年2月時点で指導者は全国に約5300人いるが、農水省ではまだその数は不十分だとしており、令和6年度は指導者育成研修についても前年度6回を7回に増やす。
 こうした研修の充実以外にも広報誌やSNSを活用した注意喚起の実施などこれまでの取組も並行して進める。         ◇
 会議では、農水省からの報告のほか農機メーカーが各社の農作業安全に関する取組を紹介。井関農機は営農ソリューションポータルサイト「Amoni」の実演コンテンツに点検・安全作業動画を追加したことなど、クボタは、アグリサービス・販社を通じた農作業安全指導など、ヤンマーアグリは展示会での安全作業実演などを紹介した(詳細については次号以降)。

関連記事

諸岡 2つの展示会に出展 最新キャリア、破砕機展示

諸岡 2つの展示会に出展 最新キャリア、破砕機展示

〝チャレンジ〟掲げ新生諸岡始動 35年ぶり社長交代 海外、国内林業部門強化へ

〝チャレンジ〟掲げ新生諸岡始動 35年ぶり社長交代 海外、国内林業部門強化へ

アイデック 安全講習会で講演 安全な草刈りをサポート

アイデック 安全講習会で講演 安全な草刈りをサポート

ビコンジャパン GPS連動型スマート農機 畑作「三種の神器」 機能拡張しより使いやすく

ビコンジャパン GPS連動型スマート農機 畑作「三種の神器」 機能拡張しより使いやすく