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システム化研究会 令和5年最終成績検討会 産官で先端技術の実装へ

システム化研究会  令和5年最終成績検討会 産官で先端技術の実装へ

全体会で挨拶する岩元会長

 
(一社)全国農業改良普及支援協会(岩元明久会長)は2月20~21日、令和5年度全国農業システム化研究会最終成績検討会をリアルとWebで開催、都道府県の普及関係者や農水省関係者、また協賛メーカーとしてクボタ、くるみ会関係者など530名余りが参加した。
 開会式で岩元会長は「令和6年は大波乱の幕明けとなった。気候変動の激化、国際情勢の緊迫化等が続く中、我国では、本年、食料・農業・農村基本法が改正され、その実現の具体策となる工程表が示される。これを受け〝現場こそ原点〟で今の重要課題解決に尽力したい」と述べた。
 次に来賓と 令和5年度全国農業システム化研究会の最終成績検討会が、20日から21日にかけてアルカディア市ヶ谷で開催された(関連記事1面)。
 第2分科会では、島根県農業技術センターの佐々木真一郎氏が、礫質圃場での排水対策と緑肥活用の実証結果を報告した。排水性を改善する「カットブレーカーmini」は、施工の翌年まで効果が持続し、隔年施工にすることで、振動サブソイラの連年施工よりも作業時間を80%削減できることが発表された。緑肥の活用では、ヘアリーベッチとヘイオーツは園芸用の播種機で効率的に播種でき、ヘアリーベッチでは散播に比べて作業時間が44%、播種量が40%削減できた。また、化学肥料を減らして緑肥や有機質資材で代替することで、施肥コストを削減できたが、収量が低下することが指摘された。
 また、佐賀県農業試験研究センターの下古場陵一氏は、ブロッコリー栽培における化学肥料低減技術の実証について、畝立て同時2段局所施肥機により窒素成分量を3割削減しても収量を1割増加させ、品質に問題がないことを報告した。追肥作業が省略でき、労働時間も約9時間/10a削減されたと報告。一方、耕起深が20㎝(慣行10㎝)必要となることや、機械作業に適した土壌条件や砕土条件を確認する必要があるとした。
 鹿児島県農業開発総合センターの大園賢志郎氏は、D―GNSS仕様の直進アシスト機能付きトラクタでの肥料散布により、散布のムラが改善されたと報告した。また、RTK使用の直進操舵アシスト機能で、まっすぐな畝立てが可能であることも示された。
 ドローンに関する課題も多く報告された。かんきつのドローン散布では、樹上をホバリングするよりも、樹上を通過しながら散布する往復散布が適していることが示され、散布水量を増やすことで薬液付着が向上することが観察された。キャベツのドローン散布では、葉数展開期が最も散布に適した生育ステージであることが指摘された。
さらに、ドローンのドリフト軽減対策では、粒径大ノズルによるドリフト軽減効果が高かったことが報告された。
 稲の株元にいるトビイロウンカへの効果では、「エクシードフロアブル」は展着剤(アジュバント)を加用すると更に効果が高くなり、「エミリアフロアブル」は展着剤の有無に関わらず高い効果が認められたとした。ニンジン露地栽培におけるドローン除草剤(粒剤)の散布も、地上散布(ブームスプレーヤ)と同等以上の効果があり、作業時間が約4割短縮できたと報告された。して農水省大臣官房の佐藤紳生産振興審議官が挨拶(技術普及課・吉田剛課長代読)。その中で「本会はクボタ始め農業資材メーカーと全国の普及組織が連携した先駆的な取組みをされ、重要課題に沿った研究開発は、数多くの成果を上げてきた。今回の基本法改正は将来にわたって持続可能な食料供給基盤を作ることが基本。スマート農業を入れた生産方式への転換も柱となる。スマート農業技術活用促進法を本国会に提出予定だが、これは栽培体系を併せての活用が鍵となる。本会の役割は益々重要となる」と述べた。
 次に農業機械・資材メーカーを代表し、クボタの木村浩人取締役専務執行役員がオンラインにより祝辞。「世界で持続性の高い農業が求められている。どのようにして複雑で高度な課題を解決し、持続可能な農業を実現するのか。それを目指して実証を積み重ねる本研究会の活動は、益々重要になっていく。クボタは、トータルソリューションの提供とスマート農業の推進でこれら重要課題解決に貢献していく。我々農機メーカーは農業を支える人を支え続けていくことが使命と考える」と述べた。
 その後の全体会議では「運営委員及び役員の選任」を承認。令和6年度事業計画では共通テーマに「イノベーションによる農業生産性の向上と持続性の両立を目指した実証」を継続、課題は①スマート農業技術による稲作経営の確立に関する実証調査②水田における土地利用型作物の生産効率向上に関する実証調査③野菜等の効率的生産技術に関する実証調査の3つを柱とし、特別課題として①効率的な病害虫・雑草防除技術に関する実証調査②IPMの実証調査。
 3月5日には都内で現地フォーラム(ハイブリッド会議、現在受付中)。来年の成績検討会は2月18~19日に開催予定。
 その後最終成績検討会。始めに、共通テーマに掲げている「イノベーションによる農業生産性の向上と持続性の両立を目指した実証」に因んだ講演2件。始めに『気候変動が農業に与える影響』(九州大学大学院気象環境学研究室・廣田知良氏)、続いて『山梨県における4パーミルイニシアチブの取組み』(山梨県農政部・國友義博氏)。
 午後からは成績発表。第1分科会は、スマート農業技術をどう組み合わせて活用すべきか、また大豆の安定生産に向けた取組みの検証が報告され、踏み込んだ質疑応答で白熱した。

 

畝立て同時2段施肥 ドローン実証も多数報告



 
 第2分科会では、島根県農業技術センターの佐々木真一郎氏が、礫質圃場での排水対策と緑肥活用の実証結果を報告した。排水性を改善する「カットブレーカーmini」は、施工の翌年まで効果が持続し、隔年施工にすることで、振動サブソイラの連年施工よりも作業時間を80%削減できることが発表された。緑肥の活用では、ヘアリーベッチとヘイオーツは園芸用の播種機で効率的に播種でき、ヘアリーベッチでは散播に比べて作業時間が44%、播種量が40%削減できた。また、化学肥料を減らして緑肥や有機質資材で代替することで、施肥コストを削減できたが、収量が低下することが指摘された。
 また、佐賀県農業試験研究センターの下古場陵一氏は、ブロッコリー栽培における化学肥料低減技術の実証について、畝立て同時2段局所施肥機により窒素成分量を3割削減しても収量を1割増加させ、品質に問題がないことを報告した。追肥作業が省略でき、労働時間も約9時間/10a削減されたと報告。一方、耕起深が20㎝(慣行10㎝)必要となることや、機械作業に適した土壌条件や砕土条件を確認する必要があるとした。
 鹿児島県農業開発総合センターの大園賢志郎氏は、D―GNSS仕様の直進アシスト機能付きトラクタでの肥料散布により、散布のムラが改善されたと報告した。また、RTK使用の直進操舵アシスト機能で、まっすぐな畝立てが可能であることも示された。
 ドローンに関する課題も多く報告された。かんきつのドローン散布では、樹上をホバリングするよりも、樹上を通過しながら散布する往復散布が適していることが示され、散布水量を増やすことで薬液付着が向上することが観察された。キャベツのドローン散布では、葉数展開期が最も散布に適した生育ステージであることが指摘された。
さらに、ドローンのドリフト軽減対策では、粒径大ノズルによるドリフト軽減効果が高かったことが報告された。
 稲の株元にいるトビイロウンカへの効果では、「エクシードフロアブル」は展着剤(アジュバント)を加用すると更に効果が高くなり、「エミリアフロアブル」は展着剤の有無に関わらず高い効果が認められたとした。ニンジン露地栽培におけるドローン除草剤(粒剤)の散布も、地上散布(ブームスプレーヤ)と同等以上の効果があり、作業時間が約4割短縮できたと報告された。

 

 

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