農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

受付時間 平日9:30~17:00

TEL 03-3831-5281

毎週 火曜日発行
 >  > 国産大豆の増産へ 農水省 単収の向上に向け シンポで新品種や技術紹介

国産大豆の増産へ 農水省 単収の向上に向け シンポで新品種や技術紹介

国産大豆の増産へ 農水省 単収の向上に向け シンポで新品種や技術紹介

 農水省は2月2日、東京都千代田区の同省講堂で「大豆単収の向上に関するシンポジウム」を開催した。わが国では、食品用大豆の需要は堅調に推移している一方、国産割合は23%にすぎない。品質面や、食料安全保障の観点からも、国産大豆の増産が求められている。こうしたなか、今回のテーマは「いっぱい穫れる新品種と栽培技術の秘訣」で、極多収品種や最新技術などについての講演のほか、全国豆類経営改善共励会大臣賞受賞者らによるパネルディスカッションが行われた。

 政府は、食料・農業・農村基本計画において、大豆の令和12年度の生産努力目標に34万tを掲げている。一方、令和4年の国内供給量は約23万t。また、昨年は前例のない記録的な猛暑に見舞われ、品質低下や収量減少などの影響も発生した。目標達成のためには、作付面積の増加のほか、単収の増加も求められている。
 同シンポジウムは、新たに開発された大豆極多収品種を紹介するとともに、全国豆類経営改善共励会で農林水産大臣賞を受賞し、優れた大豆経営を行っている農業者及び大豆栽培技術の専門家を通して栽培技術の秘訣を明らかにすることで、大豆増産の機運を高めていくためのもの。
 冒頭では、武村展英農水副大臣が挨拶に立ち、「大豆は、古くからわが国の食文化を支える重要な食材であるのみならず、持続的な食料生産のための輪作体系にも組み込まれており、食料の安定供給上も重要な作物。一方で、国産需要があるものの、海外からの輸入に多くを頼っており、食料の安定供給という観点からも国産化を進めていくことは喫緊の課題となっている。本日お集まりいただいた皆様方をはじめ、全国の大豆生産者へ、収量性・加工適性に優れた品種、栽培技術が広く普及し、新たな食料・農業・農村政策への転換点となる基本法改正の年から、国産大豆の振興が一層加速することを大いに期待している」と述べた。
 続くシンポジウム第1部のテーマは「大豆極多収新品種」で、最初に農水省穀物課の佐藤夏人課長が「大豆をめぐる事情」と題して講演。国産大豆は、実需者から味の良さ等の品質面が評価されていることや、作付面積・生産量の推移、普及が期待される主な新品種などについて説明した。
 次に、農研機構作物研究部門の石本政男所長が「大豆極多収品種の開発と普及」について講演。2010年から日本品種と米国品種の交配を開始し、昨年出願公表した新品種「そらみずき」と「そらみのり」は、現地ほ場で普及品種「里のほほえみ」や「フクユタカ」と比較して30%以上多収だったことを紹介した。
 このほか、生産者のネットワーク大津㈱・德永浩二氏による「大豆極多収品種『そらみのり』の栽培状況」、実需者の㈱おとうふ工房いしかわ・石川伸氏による「大豆極多収品種の利用」などの講演も行われた。
 一方、第2部のテーマは「大豆増収のための技術・秘訣」で、大豆栽培の最新技術としては、農研機構中日本農業研究センターの大野智史氏が大豆用高速畝立て播種機を紹介。時速6㎞以上の高速作業を実現していることなどを解説した。
 その後、全国豆類経営改善共励会大臣賞の受賞者と極多収大豆生産者が登壇。同共励会審査委員長で東北大学名誉教授の國分牧衛氏の司会で、「大豆の単収を向上するための栽培技術ポイント」をテーマにパネルディスカッションが行われた。

関連記事

累計で67事業者に みどり法基盤確立事業計画ネポンなど3社追加

累計で67事業者に みどり法基盤確立事業計画ネポンなど3社追加

衆院農林水産委員会 スマ農新法議論開始 活用しやすい環境整備を

衆院農林水産委員会 スマ農新法議論開始 活用しやすい環境整備を

基本法が衆院通過 「多収」明記し修正 附帯決議に有機等盛り込む

基本法が衆院通過 「多収」明記し修正 附帯決議に有機等盛り込む

露地野菜可変施肥等 新規10課題を採択  戦略的スマート農業技術開発改良

露地野菜可変施肥等 新規10課題を採択  戦略的スマート農業技術開発改良