「給食」と「食と農」 農林記者会75周年シンポ
講演する藤原准教授
弊紙も所属している農林水産省の記者会である「農林記者会」が75周年を迎えるにあたり、1月19日、東京都港区のマリーグラン赤坂で記念講演会が開かれ、農業、食品業界をはじめ様々な業界から100人超が参加した。
当日は、京都大学人文科学研究所の藤原辰史准教授が「給食から考える食と農の自治」をテーマに講演。藤原氏は、ヨーロッパにおける「飢え」の問題について、ドイツのヒトラー台頭を例に挙げながら解説。それを前提とし、わが国は、「無縁社会」となっており、子どもの7人に1人が貧困状態であり「給食が子どもを支えている。給食の歴史を研究してわかったのは、給食は単に『食料』の問題であるだけでなく、心の問題とも深く関わっている」と解説。そのうえで戦前から戦後にわたる学校給食の歴史を紹介した。
また、韓国の例を挙げ「高校でも給食があり、ソウル近郊では殆どが有機栽培の給食となっている。これにより、若手の有機農業者がどんどん増えている。今、若者が関心があるのは、フードロスと有機農業。これから農業者を増やすうえでは、給食は一つの有効な手段になる」とした。
そのうえで、「食は分断化され無縁社会が進む中で大きな役割を果たすもの。それを供給する農業・酪農といった業種は、単にその業界を盛り上げるだけではなく、福祉的にも、教育的にも、環境的にも大きなインパクトを与えることができる存在」などと論じた。
講演後には質疑応答も行われ、会場から多数の質問が寄せられるなど、大いに盛り上がった。