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着実に進むみどり戦略だが

着実に進むみどり戦略だが
農水省が令和3年に打ち出した「みどりの食料システム戦略」。今年5月で制定から丸3年を迎えるが、戦略で位置づけられた2030年、そして2050年の目標に向け着実に歩みを進めている。
 昨年12月に開催された第13回みどりの食料システム戦略本部では、みどり戦略の取組の進捗状況について報告が行われた(本紙一部既報)。
 みどりの食料システム法関連では、農業者の認定は46道府県2241人で行われ、税制・融資の特例や補助事業の優先採択などを活用しながら取組が進められている。また、地域ぐるみで行う環境負荷低減の取組を促進する「特定区域」は16道県27市町で設定。また、令和4年度補正予算及び令和5年度当初予算で措置された「みどりの食料システム戦略推進交付金」については全国で400件以上活用されており、スマート農機を活用した省力栽培の実証や学校給食への無農薬栽培米の提供など、様々な取組が進められている。
 みどり戦略のKPIについては、(定量・定性評価については2022年の数値もまとまっていないものが多いが)、有機農業の場合、2023年は、92市町村がオーガニックビレッジとして取組を実施。また、これまでに有機農業に取り組む農業者に対し技術指導を行う有機農業指導員を累計735人育成している。農機については、2022年の実績値で自動操舵システムの普及率が6・1%(30年目標50%)、電動草刈機は19・6%(同50%)となっており、国庫補助等を活用し、導入が着実に進展している。
 こうした国庫補助を含め、農水省では令和6年度予算においては、様々な措置がラインナップされている。これらを活用し、2050年カーボンニュートラル実現に一歩ずつ近づくことを期待したい。
 一方で、近年改めて広く耳目を集めている食料安全保障の確保に向けては、「みどり戦略」一本槍では実現は難しい。人類は化学肥料や化学農薬の力を借りて大幅に生産性を引き上げ、ここまで人口を増やすことができてきた。今後も世界的に人口増が見込まれるなか、その重要性は増す。また化学農薬は雑草や害虫、病を防ぐのみならず大きくて甘い果実なども可能にしてきた。これらが我々に安心・安全でおいしい食を安定して届けることに貢献してきたのだ。
 今後もこれら化学農薬や化学肥料の活用なしに食料安全保障の確保を達成することは難しい。もちろんみどり戦略の重要性は言を俟たない。だが、それを重視するあまり、化学肥料、化学農薬の貢献を軽視してはいないだろうか。みどり戦略が着実に進展している今だからこそ、あえて化学農薬、化学肥料の重要性も改めて強調したい。

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