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【世界の食料需給のこれから】穀物需要の伸び鈍化 生産性向上で生産量増加

【世界の食料需給のこれから】穀物需要の伸び鈍化 生産性向上で生産量増加
わが国は人口減少が続く一方、世界の人口は右肩上がりで増加、2022年には80億人を超え、2058年頃には100億人を突破するとの予測もある。一方、飢餓人口は2022年で7億3500万人。更に人口が増えることを考えると食料の増産は待ったなしの課題だ。わが国においても、増え続ける世界の食に向け輸出を狙うことは、農業の成長産業化のためにも重要なことになる。
 世界の食料需給がどうなるのか。農水省が毎月取りまとめている食料安全保障月報2023年4月号で取り上げられていた特別分析トピック「世界食料需給の見通しについて」からみてみたい。
 今後の見通しとして、世界の穀物等の需給については、需要面では、南アジア・アフリカ等の途上国の総人口増加、新興国・途上国を中心とした相対的に高い所得水準の向上に伴って、食用・飼料用需要の増加が中期的に続くものの、先進国だけでなく新興国・途上国においても今後の経済成長の弱含みを反映して、穀物等の需要の伸びは鈍化して新型コロナ前より緩やかとなる。供給面では、今後、すべての穀物の収穫面積がわずかに減る一方、生産量は、主に生産性の上昇によって増加する見通し。
 穀物等の国際価格については、畜産物価格にも下押し圧力が強まるなか、世界の穀物等の需要量と供給量の増加がほぼ拮抗するものの、穀物等の価格はやや低下傾向を強める見通し。ただし、ロシアによるウクライナ侵攻の不確実性や経済の減速懸念等のリスクを背景に、エネルギー・資源価格の高騰によるインフレ圧力やサプライチェーンの混乱等もあり、2023年以降短期的に穀物等価格が大きく上振れするリスクが残っている。
 品目ごとにみてみると、とうもろこしは、世界の生産量及び消費量は今後も増加し、畜産物需要の増加に伴って飼料用消費量も増加。ただし、多くの地域で伸び率は鈍化する。今後も世界全体で飼料用消費量が総消費量の6割超を占める。一方、アフリカは、食用消費量が7割弱を占め、人口の増加に伴ってその割合はやや上昇する。世界経済の減速が懸念され、成長率の見通しの鈍化等で需要量の伸びも鈍化する。米国では国内のバイオエタノール向けとうもろこし需要が横ばいとなるため、純輸出量は増加。ブラジル・アルゼンチンでも純輸出量が増加する。
 大豆は、生産量は中南米・北米を中心に拡大。消費量は中国を中心にアジアの途上国を中心に拡大。欧州でも増加する。
 小麦は生産量及び消費量ともアジアと欧州で7割程度を占める。ロシア等の新興の輸出国が台頭し、今後もシェアを増加、一方米国等の伝統的な輸出国はシェアを落とす。東南アジア諸国の輸入量は今後も拡大し、アジアや中東・アフリカの消費量増加は今後も継続する。
 米は、世界の生産量の9割弱、消費量の8割超をアジアが占め、アジア中心の品目として今後も拡大する。消費量の殆どが食用で途上国等の総人口の増加に伴って増加する。特に相対的に高い人口の伸びが見込まれるアフリカ(特にサブサハラ)及び中東で大きく増加するが、経済成長率の鈍化でアフリカ・中東の需要の伸びは鈍化する。

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