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イワフジ工業 AI活用の架線集材 和歌山県で現地見学会開催

イワフジ工業 AI活用の架線集材 和歌山県で現地見学会開催

(写真説明)ワンオペで安全作業できることを披露

 
イワフジ工業=有吉実社長、岩手県奥州市=は、中井林業(中井稔社長、和歌山県田辺市)と共同で「AI」を使用した新たな架線集材システムの開発に取り組んでおり、昨年12月13日に和歌山県で現地見学会を開催した。森林組合や素材生産業者等75名が見守る中、キャビン内からワンオペで集材作業を披露。安全で効率的な作業実現に向けて期待が高まった。

 今回行ったのは、林野庁補助事業として開発を進めている「新たな架線集材システムを活用した『集材・造材マルチワークシステム』の実証」。集材・造材マルチワークシステムとは架線式グラップルに組み込んだ複数台のGMSLカメラ映像とステレオカメラの映像を合成して、長距離映像通信によりキャビン内のディスプレイに遅延無くパノラマ表示や立体映像を表示し、システムラジコンの遠隔操作で荷掛け作業を行い、その間に造材作業を行うことで集材・造材をプロセッサオペレータが集材作業と造材作業を一人同時進行で行うものとして昨年度に開発。本年度はその発展形としてAI画像認識等を活用して集材木を検知し、自動で索引込みを行う「AIマルチワークシステム」に着手。より安全で効率的な集材作業実現を目指している。ポイントは次の通り。
 ▽自動引込みシステム=集材対象木の直上付近まで架線式グラップルを自動移動させ、マルチワークシステムの引込み時間を短縮。
 ▽デジタルツイン映像表示=3DCGの架線式グラップルをデジタルツイン表示。トングと集材木の位置把握と荷掴み具合が認識可能になり、荷掛け操作が向上。
 会場は和歌山県西牟婁郡すさみ町内にある中井林業の平均斜度約30度の皆伐現場。使用機材の油圧集材機「YR―302E」と架線式グラップル「BLG―16R」や、AIマルチワークシステムの概要説明後、キャビン内からワンオペで集材デモを行った。
 調査結果によるとAIマルチワークシステムでは1日で22サイクルの集材・造材をワンオペで実施でき、集材・造材マルチワークシステムと同様に、プロセッサキャビン内から作業が行えることを実証。架線式グラップル自動引込みやパノラマ・立体映像表示による荷掛の効率化も実証。実装化への感触を深めた。
 オペレータを務めた中井林業の中井柾貴(まさたか)氏は「AIマルチワークシステムを使用した感想は、架線式グラップルを引込む時に俯瞰映像、材を荷掴みする時に360度の立体映像をARグラスで見ながら作業を行うので、効率もとても良くなってやりやすい。安全性に関しては材の近くに人が荷掛けに行くことなくできるので申し分無いと思う。キャビンに居ながら集材も造材も1人ででき、架線式グラップルのAI自動運転も相まって作業効率も大幅に上がるのではないかと思う」と述べた。

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