農林業機械・農薬・資材についての動向を紹介する

スマート技術活用で　環境にやさしい農業に貢献

　井関農機（冨安司郎社長）は12月20日、南種子町（小園裕康町長）及び㈲かごしま有機生産組合（有馬亮代表）と、美しい景観を支え、持続的で魅力ある街づくりを目指して、『スマート技術を活用した環境にやさしい農業に関する連携協定』を締結。その調印式を鹿児島県熊毛郡南種子町の同町研修センター会議室で行った。井関農機は縄田幸夫常務が調印。

　締結式に先立ち、連携協定の概要、３者の協定の目的が説明された。
【連携事項】①省力化と持続性を両立する環境にやさしい生産技術の確立と普及に関すること②環境にやさしい農業を実践する人材及び経営体の育成に関すること③南種子町が行っている他の取組み及び地域住民との連携に関すること④広報及び情報発信⑤その他、目的達成のために必要な事項。
【南種子（みなみたね）町】温暖な気候、豊かな自然など農業や観光等の大きなポテンシャルを持つものの、人口減少、高齢化が進んでいる。スマート技術を活用し、有機農業を始めとする環境にやさしい農業、環境保全・環境負荷低減に取り組むことで美しい景観を支え持続的で魅力あるまちづくりを行い、南種子町の課題解決に繋げたい。
【井関農機】スマート農業技術を駆使し、環境にやさしい農業の実現に向けサポートさせて頂きたい。ロケットが代表するように農業における最先端の地、南種子町で我々は土づくりから収穫まで一貫した形での新しい体系の実証を行いながら生産者と共に価値ある農業作りに邁進していきたい。
【かごしま有機生産組合】40年を超える有機農業実践の実績がある。野菜約１２０品目、果樹約20品目、米等の有機栽培を行っており、輸送の温度管理、パッケージに取組むと共に、有機ＪＡＳ、ＨＡＣＣＰ等の認証を取得、ベビーフードを有機ＪＡＳ認定工場で製造、ジュース、ジャム等の加工も行っている。販売では直営店、ＥＣ直販、世界10カ国以上の輸出販売の実績もある。これら全ての工程の多様な技術・経験・ノウハウを一貫して保有しているが、今回の連携協定ではスマート技術による栽培省力化と品質向上に期待している。
　その後、南種子町の小園裕康町長、かごしま有機生産組合の有馬亮代表、井関農機の縄田幸夫取締役常務執行役員により連携協定の調印が行われた。
　南種子町の小園裕康町長が挨拶に立ち「本町は国のみどりの食料システム戦略に基づき、令和３年12月20日に『有機農業』を軸とした地域活性化に関する包括連携協定を締結し、取組を進めてきた。今回は農業機械を軸とした作物生産のスマート技術を有する井関様を加え、生産部門の強化に期待している」と述べた。
　続いて井関農機の縄田常務が挨拶。「日本農業では農業就業人口の減少に伴い大規模化が進み農作業の省力化・効率化がより求められている。一方、環境を重視した「持続可能」な食料システムの構築が重要視され、今まで以上に環境や食の安全性などへ配慮した営農体系への積極的な転換も急務だ。井関農機では、先端技術を活用したスマート農機と長年培ってきた栽培技術によるハードとソフトを組み合わせたソリューションにより、有機水稲栽培を始めとした作物ごとの環境保全型農業の実現に向けた技術検証を進めてきた。これらスマート技術を駆使し、環境に優しい農業の発展に尽力すると同時に、農業機械を軸に据え、生産の最適化を図りながら、技術やノウハウを共有し、皆様と共に未来に向けて歩んでいくことを楽しみにしている。宇宙と歴史のｈｏｔ ｌｉｎｅ南種子町からこの取組みが発信されることは弊社にとっても『夢ある農業の実現、更には日本農業の活性化および農業者の所得の向上のため、新しい未来を提示するものとなる』と考えている」と述べた。
　かごしま有機生産組合の有馬代表は「40年余り前から有機農業の一貫体系を築いてきた。ただ課題も見えてきた。人手不足が進む中、もっと効率よく有機の生産ができないか。今回、井関農機様に参加頂き中小規模の農地の多い南種子町でスマート農機がどう活用できるのか期待している」と述べた。