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土づくり更に強い後押しを 

土づくり更に強い後押しを 
農業において土づくりの重要性は今更言うまでもないだろう。
土壌の3要素である物理性、生物性、化学性を改善することは、高品質高収量への第一歩だ。「良い土」は持続可能な農業経営にとって欠かせないものとなっている。以前取材した農家さんは「農業の基本は土づくり。良い土さえ作ることができれば収量も品質もあげられる」と語っていた。今年は特に顕著だが、暑さや少雨、また局地的な豪雨など農作物生産に厳しい状況が頻発している。そうしたなかでも高品質多収を実現するためには、基礎となる土づくりに手を抜くことはできない。
 とはいえ、奥が深く一筋縄ではいかないのが土づくり。助けの手がほしいところだ。そんな土づくりのアドバイスを行うことができるのが土壌医等の有資格者。土壌医は日本土壌協会が事務局を務める資格で「土壌を診断し、処方箋を出す専門家」。土壌医のほかにも土づくりマスター、土づくりアドバイザーといった資格があり、2022年度3月末現在でそれぞれ土壌医が255人、マスター1130人、アドバイザー2645人の計4030人が活動している。
 土壌医は具体的にどんな取組みをしているのか。先日開かれた土壌医の会全国協議会第7回全国交流会内の優良土づくり推進活動表彰で表彰を受けた取組を紹介すると、農産局長賞を受賞した金原伸大氏は、有機大豆に取組む新規就農者を支援。土壌分析や各時期の現地調査などを通じ低収の要因を分析。それを基に施肥設計を提案した。その結果、前年の収量を大きく上回ることが出来たという。
 農機販売店においても、こうした資格を取得することで、肥料や土壌改良資材などの資材や各種の作業機など様々なものを説得力をもって提案できる。もちろん土づくりを学ぶだけでも良いが、資格があればより説得力が増す。
 土づくりに向けては、今年の高温状況を受け、令和5年度補正予算で「高温対策栽培体系への転換支援」として、2億7000万円を計上。そのなかで堆肥等を施用した土づくりや土壌診断などを支援することとしている。堆肥の施用は土づくりにとって欠かせないものであり、また土を知らなければどのように改善したら良いか分からず、いずれも重要な支援だ。しかし、こうした支援に加え、物理性の改善につながる土耕機なども重要な存在であり、土づくりを推進するうえでは、これらに対する支援もお願いしたいところだ。
 折しも農水省は不測時の食料安保について、法制化の方向性を取りまとめた。これからの厳しい時代に生き残れる日本農業とするためにも、土づくりに対する強力な後押しを期待したい。

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