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農産物輸出をめぐる情勢 米等で高い伸び 輸出先の多角化が不可欠

農産物輸出をめぐる情勢 米等で高い伸び 輸出先の多角化が不可欠

 農林水産物・食品の輸出額 10月は前年同月比9・5%(116億円)減の1133億円

わが国の農林水産物・食品の輸出は中国による輸入規制のなかも健闘している。
 農水省が12月5日にまとめた農林水産物・食品の輸出額(10月)によると、10月単月では、前年同月比9・5%(116億円)減の1133億円となった。輸出額の減少が大きかったのは品目では、ホタテ貝(76億円の減少)、国・地域別では中国(116億円の減少)だった。これは、中国政府による輸入規制の影響が大きい。8月の輸出規制以降単月では、8月が同7・9%減、9月は同3・1%増と回復したものの10月は前述の通り9・5%の減少となっている。1月からの累計では同3・3%増の1兆1210億円とまだ増加となってはいるもののあと2カ月でどう推移するか。2025年2兆円、2030年の輸出5兆円目標に向けては、なかなか厳しい状況だ。

 

農産物は伸長 米は30.9%増


 そうしたなかでも、比較的好調に推移しているのが、農産物だ。1―10月の累計でみると、畜産物は鶏卵を除くすべての品目で増加、特に牛肉は11・2%、豚肉は同24・3%、鶏肉は同25・2%とそれぞれ大幅に伸びている。また、米(援助米除く)も同30・9%増の75億3100万円。青果物ではりんごが同26・9%増の104億42000万円、いちごが同24・6%増の47億4700万円など大幅に伸びている品目も多い。また、緑茶も同27・8%増の229億4500万円と伸びが著しい。特に米や緑茶は10月単月でも高い伸びとなっている。

 そうしたなかで農水省では、令和5年度補正予算として、「2030年輸出5兆円目標の実現に向けた農林水産物・食品の輸出促進」に359億5200万円を計上。事業の3本柱が①生産・流通の転換による輸出産地の形成②海外における支援体制の確立や戦略的サプライチェーンの構築③生産者・事業者が輸出に取組む土台となる環境の整備――。これらをもとにさらなる輸出拡大が進められることになる。
 
12月5日の定例記者会見で、宮下農相は農林水産物・食品の輸出について「中国や香港向けの輸出額の減少が大きい一方、アメリカや韓国向けの輸出は増加している。今後、輸出先の多角化を更に進める必要があると考えており、ベトナムの視察商談ミッションの事業者募集やアメリカでは、ヒューストンに同国3つ目の輸出支援プラットフォームの拠点の設置などを進めている」としている。

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