5年度補正予算成立 農水省、生産性の拡大を後押し
水田活用の直接支払交付金に指摘
令和5年度補正予算が11月29日、参議院で政府案の通り可決され成立した。農林水産関係については総額8182億円が計上されている。今後、予算の執行に向け事業の実施要項策定などの作業が進められることとなる。迅速に、かつより効果のある形で事業が実施できるよう作業を進めてほしい。
令和6年度予算については、国会での審議はこれからだが、財政審議会で建議が行われ、農林水産関係では水田活用の直接支払交付金やセーフティネット制度、スマート技術の効率的な活用などについて指摘された。
水田活用の直接支払交付金については、今後も主食用米の需要が減少し、需給バランスの調整のために必要な転作面積が発生し続ける状況が見込まれるなかでは、更なる見直しが必要だと指摘。水田の畑地化を進めるとともに、交付金単価を含め品目ごとの状況を踏まえた見直し等の適正化に取り組んでいくべきとしている。また、小麦や大豆については、単収が低い水準で停滞していると指摘。水活交付金が交付されるため、水田での作付けが多いことがその要因だとし、水田で小麦・大豆を生産する場合には交付対象の単収に基準を設けるなど生産性向上に重点を置いた仕組みとするなど見直しを考えるべきだとした。
一方、スマート技術については、規模の小さな経営体では、「農業支援サービス事業体」をうまく活用することが求められる。農業支援サービスへの潜在的なニーズは一定以上存在すると見られるものの、農業者の約4分の3はまだ利用したことがなく、その多くが今後も利用する意向がないことから、サービスの有効性がまだ十分に認知されていない可能性があると説明。サービス事業体を自立した「新たな産業分野」として育成することで、法人経営体の生産性向上に向けた取組を補完するという視点が重要だと指摘した。
建議について、24日の定例会見で宮下農相は、「必ずしも単収が上がっていない例があるのではないかとのご指摘もあるが、飼料用米について言えば、一般品種ではむしろ単価を引き下げ、飼料専用米のような多収米に傾斜して単価を設定するなど様々な工夫を行うとともに、適切な収量確認を行うことができるよう、通知の改正を進めている。今後もしっかり生産性拡大を後押しするような取組を進めていく」とした。