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農研機構 完全無人農作業へ 作業機自動交換技術開発

農研機構 完全無人農作業へ 作業機自動交換技術開発
農研機構はこのほど、ロボットトラクタを利用した作業の一層の省力化・省人化に不可欠なトラクタ作業機の交換作業を自動化する技術を開発した。
 トラクタは耕うん機や播種機といった作業機を交換することで種々の作業を行うため、作業機の交換は生産現場では必須の作業。一方、作業機の交換は非熟練者に限らず熟練者にとっても難度が高く、トラクタと作業機の間に入って連結を行う必要があることから、危険を伴う作業でもある。
 こうしたことから、トラクタ農作業事故の18%は作業機の交換時に発生している(JA共済連「共済金支払データに基づく農作業事故の発生状況の分析について」、2022)。このような現状にもかかわらず、作業機交換の自動化に関する研究は十分に行われていない。
 農研機構では、トラクタ作業機の自動交換技術の開発に取組み、これを実現するための要素技術となる①作業機の自動着脱に適したヒッチ機構②作業機自動交換のためのトラクタ制御技術―を開発した。
 ①の作業機自動着脱用ヒッチ機構は、トラクタ側及び作業機側フレームから構成され、トラクタ側・作業機側フレームの固定と解放、電気系統(電源回路、作業機制御・駆動用の通信回路)、油圧系統(1系統)及びPTOの断続を自動化することが可能。同機構は、カテゴリ1及び2の三点ヒッチ(トラクタ出力15~100PS)に装着でき、小~大型の作業機に幅広く適応できる。また、トラクタと作業機の位置決めの際の許容誤差が大きく(水平方向の位置:±3~5㎝、角度:5度)、車内から操作可能なため、標準オートヒッチを利用した熟練者による着脱と比べ作業時間が約5割短縮できる実験結果も得られている。
 また、ロボットトラクタの位置制御で一般的に用いられているRTK―GNSSのみで作業機位置の計測及びトラクタの誘導を行った場合、自動装着の成功率は70%が限界となり、接近時の位置制御の精度向上が必要だった。
 そこで、②の技術では、トラクタ側にRGBカメラを装着し、作業機側に取り付けた基準マーカを検出することで両者の相対位置を高精度に計測できるマシンビジョンシステムを構築。更に、作業機装着位置へトラクタを接近させる走行経路の生成手法の改良と、接近時にトラクタを極低速(毎秒0・1m)で移動させる手法を開発したことで、位置誤差±2㎝、角度誤差±2度以内の高い精度での位置合わせを実現した。なお、屋外マシンビジョンを用いるための外乱光(太陽光や周囲からの光)の影響を受けるが、一定の外乱光条件(照度10万lux以下、カメラへの入射角30度以上)であれば、平坦なコンクリート及び草地上において作業機装着成功率100%を達成している。
 現在、これらの要素技術を統合してロボットトラクタに組み込み、システムとしての実用性を評価している。
 この技術は、危険を伴う作業機交換時に人の関与が不要となるため、農作業事故の低減が期待できるとともに、作業機の着脱が大幅に省力化できることから作業能率の向上にも繋がる。また、将来的にロボットトラクタによる完全無人農作業(遠隔監視等による無人農作業)の実現に貢献する。

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