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山仕事に魅せられて 大子町森林組合の菊池さんと椎名さん

目指せ林業プロ 我が社のホープ -30-

〝山仕事がしたい!〟と、この世界に入ってきた菊池駿太さん(24歳)と椎名琴絵さん(23歳)。聞けば同じ高校の林業科出身で、高校2年生時の高性能林業機械の体験実習がきっかけで、大子町森林組合=吉成俊光代表理事組合長、茨城県久慈郡大子町大字川山897=に入組したとか。同席した石井崇博業務課長によれば二人ともセンスの良さを買われて異例の速さで造林班から素材生産班に回ったとのこと。組合でも最年少の二人に林業の世界について伺った。
 「幼稚園児の頃からパワーショベルの運転手になるのが夢だった」と地元大子町出身の菊池さん。幼い頃には工事現場巡りをするほど憧れていたそうだが、「体験実習でプロセッサにグラップル、フォワーダの3台を操縦して、パワーショベルより高性能な点に惹かれて」と笑う。今は主に伐倒と運材を担当。「狙った場所に伐倒できれば達成感もひとしお。目標は素材生産業務のオールラウンダーです」。
 片や椎名さんは組合初の女性作業員。当初はチェンソーに触るのも怖かったそうだが、今では1日約30本を伐倒して搬出まで行える腕前に。仕事をする上で心がけていることを尋ねると「常に機械を綺麗にすること。常に運転席の足まわりは清掃し、現場移動ごとに泥を落としたりしてます」との返答。それもあって彼女が乗るフォワーダは異様に綺麗で同時に故障率が低いと石井業務課長は話し、「おかしい箇所が泥に隠れて見えないということがない。彼女の行動を見て組合全体で機械の扱いを変えるきっかけになった」と補足した。別々の作業班なので普段の仕事ぶりを見ることはできないというが、
 椎名さん「菊池くんは初めての機械でもすぐコツを掴んで手足のように扱ってしまうのでどう頑張っても勝てない。高校の実習時から凄いなと思ってました」
 菊池さん「椎名さんは自分が乗っているのとは全く違うフォワーダを操縦しているので凄いなと思っています」と、互いを評価しあっていた。
 大子町森林組合は八溝山系を含め、県内でも傾斜の急な現場が多い。近年では温暖化の影響で作業環境としては過酷さが増していることから数年前から夏場に日中の仕事を控えるサマータイムを導入している。そうした過酷な面を実感しつつも、林業という仕事にやりがいを感じている。
 菊池さん「ここに入って機械の面白さを実感しています。もっとプロセッサを操作する時間を増やしたい」。
 椎名さん「町中の支障木伐採に行くと〝ありがとう〟と感謝の言葉をもらえるのが嬉しい。林業の仕事内容を発信する機会を増やして女性が入って来て欲しい」。
 来月12日・13日に茨城県ひたちなか市で森林・林業・環境機械展示実演会が開催される。森林組合でもデモで使用する木材を提供するほか、椎名さんは育樹祭の式典行事で女優さんと対談する予定。「それより機械展の方が楽しみで」と言うので大笑い。その言葉に成長しようという意気込みを感じた。
    ♢ ♢
 本レポートは各地のJ―クレジット発行体を取材した「カーボン・オフセットで森づくり」に続き、各素材生産業者や森林組合などから若手林業従事者を紹介いただき、林業に入った感想などを聞くと共に、各事業体代表者などから人材獲得や育成について取り組んでいる工夫などを聞く。

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