クボタアグリフロントでトラクタ遠隔操縦 小学生体験は日本初 北海道大学野口教授も解説
クボタと北海道大学は10月8日、北広島市の北海道ボールパークFビレッジクボタアグリフロントで、スマート農業体験イベント「未来の農家の一日を体験しよう!トラクタ遠隔操縦体験」を共同開催した。北海道大学スマート農業教育研究センター見学のほか、農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT」と北海道大学を5Gで繋ぎ、約20㎞離れた遠隔地から子どもたちがトラクタの遠隔操縦を行うなど、最前線のアグリテックを体感することで、未来の農家の一日を体験した。
野口教授がスマート農業を解説
6月にオープンしたアグリフロント
高齢化や担い手不足といった日本農業の課題が顕在化する中、これまでクボタと北大は「スマート農業」分野で広く連携し、自動運転農機の基礎技術の研究などを共同で行ってきた。クボタアグリフロントは、北大、ファイターズスポーツ&エンタテイメント、クボタによる3者連携協定に基づき今年6月にグランドオープン。北海道の基幹産業である農業の持続可能な発展に向け、幅広い取組みを実施してきた。
未来の農業技術を子供たちに体験してもらう場を検討するにあたり、先進技術の研究に伴う北大と、食と農業の未来を志向する仲間づくりの場であるクボタアグリフロントが、今回、共同でイベントを開催した。
イベントでは、北大キャンパス内の畑にあるトラクタを約20㎞離れた農業学習施設クボタアグリフロントから遠隔操縦する最新技術を道内の小中学生が体験した(北海道大学の野口伸教授によると、小学生の遠隔操縦は初)。
スマート農業教育研究センター見学
自動操縦見学、自動操縦体験、AIなどスマート農業も
また大学院生のオスピナさんは、遠隔操縦を行ったトラクタ「MR1000A」を紹介し、自動操縦を「かしこいトラクタ」、人が近づいて警告を発すると「怒ったトラクタ」と独特の表現で説明した。子どもたちからは、自動操縦のようすを見学しながら、「どうやって周囲の人を感知するのか?」など鋭い質問も挙がった。
午後はアグリフロントに場所を移し、野口教授や学生指導のもと、子供たちが、緊張しながらも楽しんでトラクタの遠隔操縦を体験。自動車の運転経験がなく、ハンドル操作に慣れておらず、直進維持に苦労したようすだったが、自動運転モードでは、誤差がほぼなく直進維持しているのを見て、テクノロジーの凄さや重要性を感じていた。「作業中にけがをする心配もないのが良い」「遠隔で操作している状況が不思議」「畑にいなくても農作業ができるなんて」と感動の声がきかれた。
スマート農業の見学では、自動走行農薬散布ロボットやAIを活用した自動かん水装置のデモンストレーションを見学し、なぜこのテクノロジーが開発されたのか等、技術開発の背景にも興味を持っていた。
最先端の農業技術(アグリテック)を通じて子供たちに未来の農家の一日を体験してもらうことで食と農業への関心を高める機会となった。
遠隔操縦トラクタのデモンストレーション
アスパラガスエリア内でのスマート農業見学