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技術光る果樹経営者たち-5- 改植で収益性向上 園内道整備で機械フル活用

技術光る果樹経営者たち-5-  改植で収益性向上 園内道整備で機械フル活用
果樹作の生産技術や経営方式等において、他の模範となる先進的な取組みを実践する農業経営体や集団組織を表彰する「全国果樹技術・経営コンクール」。今年は、農林水産大臣賞4点、農産局長賞6点、関係団体賞4点の合わせて14点が受賞。本紙では回を分け令和4年度(第24回)受賞者の取組みを紹介する。【農林水産省農産局長賞=野田真吾氏・野田真奈美氏(長崎県大村市)】野田氏は、みかんを栽培する上で高いほ場生産性を理念として掲げており、それを実現するために機械が乗り入れできるように園内道の整備や省力機械の導入、農薬の手がけ散布による病害虫被害の低減、優良品種への更新等により、省力化と高品質化に繋げる取り組みを行っている。
 経営の主体である温州みかんの栽培面積は240・0aであり、地域の平均栽培面積(60a)を大きく上回る大規模経営。労力分散を考慮した品種構成を目指して改植を進めており、「極早生」が27%、「早生」が45%、「普通」が27%である。現在温州みかんの規模拡大を図っており、栽培面積のうち54%は育成樹となっている。
 野田氏の園地はすべて借地とし、農地確保に係るリスクやコストを軽減している。軽減したコストは、省力機械の導入やほ場整備に充てることで作業の効率化を図っている。園内道の整備により、防除作業でのトラックの乗り入れやハンマーナイフモアによる除草作業を可能にした。剪定作業時には、チッパーの活用により剪定枝の処理を省力化し、ウッドチップをほ場に還元することで、有機物を循環させている。
 出荷は農協を基本としながら、一部の病害虫被害果等のみかんを地域の産地直売所「おおむら夢ファームシュシュ」でジュース加工しており、6次産業化による高付加価値化を実現している。製造したジュースは、独自ブランドである「nocchi farm」として大村市のふるさと納税や直売所、地元の飲食店、県外での直売イベント、SNS等の自身で開拓した販売ルートを通じて販売しており、現在もさらなる販路拡大に向けた商談会への参加など積極的に取り組んでいる。
 令和3年産温州みかんの単収は、部会平均と比較して約2・5倍、10a当たり4165㎏でありながら、さらなる単収を向上させるための取組として、収穫後の液肥散布による樹勢回復を行い、連年安定生産に繋げている。
 高品質果実で構成するブランド率は、「極早生」および「早生」で部会平均の約2倍である。ブランド率向上に向けた取り組みとして、全面シートマルチ被覆やジベレリンとジャスモメート液剤の混用散布での浮皮果軽減対策、収益性の低い品種や生産性の低くなった老木を積極的に優良品種へ改植を行い、収益の向上や安定化を図っている。
 防除は手がけ散布を基本としており、樹冠上部や裾部等に薬剤を均一に散布することで、病害虫被害を軽減し、収益確保に繋げている。
 摘果剤の利用や表年樹や苗木に対しては、冬季にジベレリンとスカッシュの混用散布で花芽を抑制し、摘果の労力軽減と樹勢維持を行っている。
 このほか毎年、有機物資材(堆肥・ココブロック等)の施用を行い、土壌の団粒化と細根の発根を促し、肥料の吸収力を高めることで減化学肥料に繋がっている。
【農林水産省農産局長賞=新城一成氏・新城幸枝氏(沖縄県東村)】新城氏はパインアップル専作経営で、露地栽培266a、ハウス40aの計306aとなっている。そのうち加工用が約85%を占め、生食用品種は約15%となっている。
 令和3年度の出荷実績は111tでそのうち加工用パインアップル出荷実績は99tとなっている。これは地域平均単収の約3倍にあたり、地域で最も多量に加工用パインアップルを生産している。加工用パインアップルは出荷規格別に単価が設定されているが、新城氏は1級果率も80%と高く地域のトップである。
 経営的特色では、ほ場を3分割し、育成園、1回目収穫園、2回目収穫園と効率よく回転させることで収穫量を一定化し、安定した経営を保っている。生食用の「ボゴール」を6月に出荷し「ゴールドバレル」を7月に出荷、「加工用・生食用兼用品種(N67―10)を8月以降に出荷、といった収穫期の異なる品種を組み合わせ、労働力分散や所得の安定を図っている。
 高品質果実生産の工夫として、「N67―10」の種苗はえい芽を収穫時に通路に置き、吸芽苗を収穫後の母茎上で育成したものを使っている。定植時には基肥を施し、発根した時に液肥と固形肥料により管理している。パインアップルは草本の大きさと果実重に相関があるため、花芽誘導処理を行う時までに充分な大きさまで育成する必要がある。このため新城夫妻は常にほ場での育成状況に気を配り、生育が不足している場合は適正な草本になるよう液肥散布等による生育促進管理を行っている。
 また、「ゴールドバレル」は果柄が長く倒伏しやすく、倒伏した果実側面から下位部にかけ陽光面に日焼けを生じやすいことから、省力的に倒伏防止を図るため、倒伏防止の柵を設置している。

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