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岩手県の総合防除計画 関係者の相互連携 農業者の研修会参加など

国は、近年の温暖化等気候変動、人やモノの移動の増加に伴う有害動植物の侵入蔓延リスクの高まり、環境負荷低減などの課題を受け、予防に重点を置いた総合防除の推進に向けて植物防疫法を改正し、今年4月に施行された。
 総合防除の推進にあたっては、県が地域の実情に応じて計画を定めるものとなっており、岩手県は、「岩手県病害虫総合防除計画」を策定した。
 その中で指定有害動植物を定めている。指定有害動植物とは、有害動物及び有害植物で、国内での分布が局地的でなく、あるいは局地的でなくなるおそれがあり、かつ急激に蔓延して農作物に重大な損害を与える傾向があるため、その防除につき特別の対策を要するものとして指定するもの。
 岩手県が対象とする指定有害動植物は、作物共通でオオタバコガ、コナガ等。水稲で斑点米カメムシ類、いもち病等。麦では赤かび病、さび病類等。大豆ではアブラムシ類、紫斑病等。キャベツのモンシロチョウ、きゅうりのアブラムシ類、うどんこ病、炭疽病等。ねぎのネギコガ、黒斑病、さび病等。りんごのシンクイムシ類、黒星病、斑点落葉病等となっている。
 指定有害動植物の総合防除の基本事項は、①病害虫等の発生生態に応じた効果的・効率的な防除の推進②環境に優しい総合防除の推進=病害虫の発生生態の解明と総合防除技術の開発・普及③農薬の適正使用の推進=農薬適正使用指導及び適正管理に係る指導―となっている。
 また、異常発生時は、組織的かつ強力に急激なまん延を防止する必要があることから、県は農林水産大臣が異常発生時防除に関する措置を指示した場合に速やかに異常発生時防除を実施できるよう、措置の内容について基本的な事項を定めている。①化学農薬による防除を地域一斉に実施する②被害株や被害果のほか、発生源となり得る作物残渣の除去、被害樹の伐採、被害株のすきこみ等を徹底③早期収穫④次期作に向け、圃場内及びその周辺の管理(雑草防除、土壌消毒等)を徹底する。
 また異常発生時の実施体制は、農林水産大臣の異常発生時防除に関する措置に関する指示を受け、岩手県の農業普及技術課が、連絡会議を開催し、情報共有、異常発生時防除に関する内容の告示を行う。病害虫防除所は、全県の発生状況の把握、防除対策の周知、防除指導、農業改良普及センターは管内の発生状況の把握・防除指導、農業研究センターは防除指導に対する助言。
 また効率的な防除指導を行うため、県や市町村、関係団体(県の植物防疫協会、農業共済組合、全農岩手県本部、農協、農薬卸、県の産業用無人ヘリ推進協議会)、また農業者が相互に密接に連携する。市町村は迅速に情報発信するためホームページ、メルマガなどを積極的に活用する。農業者は、農作物の安定生産を図り総合防除の実施に努め、県や関係機関等が開催する総合防除に関する研修会等に参加するなど、地域の指定有害動植物の総合防除に必要な情報収集に取り組む、としている。
 また従来の「岩手県農作物病害虫・雑草防除指針」については、今回の法改正に伴って内容の一部を計画に盛り込み、具体的な技術内容は、資料を別途作成している。
 例えばオオタバコガの総合防除の内容は、防虫ネット使用、圃場内や周辺の雑草防除、施設では換気窓など施設開口部への防虫ネット被覆や交信かく乱剤の使用、キャベツやはくさい等の結球アブラナ科野菜では天頂部に産卵されることから初期の食害痕に注意する、などが記載されている。

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