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目指せ林業プロ 我が社のホープ 地元の森林を守る 真名畑林業の草野達也さんと星翔太さん

目指せ林業プロ 我が社のホープ  地元の森林を守る 真名畑林業の草野達也さんと星翔太さん
(写真説明)事業部長を務める草野さん(左)と星さん

 今回訪ねたのは、福島県南部で高性能林業機械を活用して先進的な施業を進めている真名畑林業=福島県東白川郡塙町植田字森戸68―1=の草野達也さん(35歳)と星翔太さん(24歳)。年齢はひと回り違うが親戚ということで昔からの幼なじみ。自宅が目と鼻の先ほどの距離で、星さんのお父さんも林業のトラック乗りということもあって山仕事の話などをアテに3人で飲むことも珍しくないとか。「もっと現場の先まで行きませんか」と誘われて奥地へ。途中で野生のイノシシに遭遇しつつこの世界に入った経緯などを聞いた。
 もともとは長距離トラックの運転手をしたかった、と草野さん。高校卒業を機にその道へ進むことをお父さんに相談したところ「ここで練習していけばいい」とスカウトされた。同社の菊地正人社長がおじにあたり、お父さんも専務として勤務中。そのまま入社して丸太を運ぶトラックに乗りながら現場作業もこなし16年が経過したとか。ある意味願いはかなったのかと尋ねると、大きな声で笑った。かたや星さんは林業歴6年目。森林学科の高校を卒業して同社を選んだ理由は、「学校で高性能林業機械に触れ、現場で乗りたいと思って。今の会社は機械が全部揃っていて従業員も多かったので」と述べた。
 取材時は伐倒と作業道作りがある程度まで終わらせ、集材と造材を急ピッチで進めている最中。この現場で草野さんは作業道作りから造材作業に移り、星さんも造材を行っていた。草野さんはトラックを降り、今は事業部長として現場管理する立場にいる。「現場での作業が多かったので大型免許を取ってもトラックは2年くらいしか乗らなかった。作業やっていると楽しく愛着も湧く。この現場も真っ暗なヒノキ山で前が見えないほどだったのがこんなに明るくなるのかとびっくりするくらい変わっていくんだよね」と草野さん。地元の山を整備していくことに心境も変わっていったそうだ。念願のオペレータとなった星さんも森がキレイになるのを実感する、とやり甲斐を述べた上で「今はパルプ材を出さないように少しでも多く用材を取れるよう工夫しています」と、先輩からのアドバイスを受けながら伐倒方法に磨きをかけている。
 同社の素材生産量は間伐メインで年間約3万㎥。ハーベスタやプロセッサ、フェラーバンチャ付バケット、フォワーダなどざっと40台ほどの機械を保有している。林業が盛んな土地とあって作業員は地元出身で、幅広い年齢構成だというが社内の雰囲気の良さが自慢だと両人。社内では〝翔太〟と呼ばれて慕われている星さんは「作業後の付き合いが多いので太りました」と苦笑していた。
 土場まで戻る頃には辺りは真っ暗。分かれてから既に戻っていた作業員と明日の段取りなどを相談していた。さまざまな話を聞いた中、草野さんの「現場を管理する立場として造林をメインにしないと10年20年先には山がなくなる」という言葉に地元の森林を整備する気概を感じた。 
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 本レポートは各地のJ―クレジット発行体を取材した「カーボン・オフセットで森づくり」に続き、各素材生産業者や森林組合などから若手林業従事者を紹介いただき、林業に入った感想などを聞くと共に、各事業体代表者などから人材獲得や育成について取り組んでいる工夫などを聞く。

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