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国産野菜をめぐる情勢 冷凍野菜の国産化 加工・業務用野菜を支援

国産野菜をめぐる情勢 冷凍野菜の国産化 加工・業務用野菜を支援
野菜の産出額は2兆2520億円(令和2年)で、農業総産出額の約4分の1、また野菜の産出額のうちトマト、いちご等の10品目で、約6割を占める。野菜はカロリーベースでの食料自給率への寄与率は小さいが、国民の健康維持増進、農業振興の上でも重要だ。一方、生産現場では、機械化一貫体系や加工・業務用への対応強化、また輸出産地の育成も急務となっている。これらの課題について、農水省農産局園芸作物課の今野聡氏が、今年1月の植物防疫協会のシンポジウムで説明した。

 野菜の生産動向をみると、令和2年の作付面積は約39万‌haで微減している一方、生産量は約1144万tと横ばいで推移している。指定野菜(※)の作付面積を地域別にみると、北海道、関東、九州で全体の約7割を占める。
 また、野菜の販売農家数は大幅に減少しており、令和2年は27万戸で5年前に比べて約3割も減少している。
 こうしたなか、野菜栽培の省力化を進める必要があるが、野菜では収穫機の開発遅れから機械化一貫体系が遅れており、特に収穫、調製、出荷に労働力を要している。また野菜は防除回数が多い品目が多く、技術革新などによる管理作業の省力化も課題となっている。
 また、価格の安い輸入野菜から国産野菜への奪還も課題となっている。野菜の輸入量は近年減少傾向であるものの、全体供給量の20%を占める。たまねぎ、かぼちゃ、にんじん、ばれいしょ、ごぼうなどの輸入量(生鮮品)は70~90万t。一方、加工品は約190万tで輸入量の約80%と大部分を占める。
 昨今は男女共働きが増えたことも後押しし、惣菜などの中食や冷凍食品の需要が拡大している。それに伴い野菜の需要は家計消費用からシフトし、加工・業務用が全体の約6割を占める。しかし国産割合は7割程度にとどまっている。
 特に、加工・業務用の冷凍野菜については、国産はたったの1割程度にとどまっており、冷凍野菜の国産化が必要だ。実需者への意向調査では、「国産の利用を増やしていきたい」との意向が約3~5割程度ある。また昨今の国際情勢から輸入野菜の価格も上昇しており、従来とは状況も変化している。
 加工・業務用分野で求められるのは、「安定調達」「安定価格(低コスト)」「異物混入防止」だ。農水省はこれらのニーズに対応し、ターゲットを絞って戦略的に国産への切り替えの取組みを進めており、生産や流通体系の見直しなど新たなサプライチェーンを構築するとともに、数量や価格を固定した契約によりサプライチェーン全体のコストを反映した持続的な取組みを実施していく。
 また政府が推進している農林水産物・食品の輸出促進については、青果物の輸出実績は2021年に377億円で前年比28%増加した。このうち野菜は3割を占めるが、いちご以外の野菜は伸び悩んでいる。青果物の輸出は台湾、香港を中心に拡大している一方で残留農薬基準の超過事例が多発しており、残留農薬基準に適合する農薬への変更や栽培技術の確立などへの対応も急務だ。
 ※指定野菜…多種類ある野菜のうち、全国的に流通し、特に消費量が多く重要な野菜を「指定野菜」に分類。キャベツ、ほうれんそう、レタス、ねぎ、たまねぎ、はくさい、きゅうり、なす、トマト、ピーマン、だいこん、にんじん、さといも、ばれいしょの14品目で野菜全出荷量の79%を占める(931万t)。
 また、地域農業振興などの目的で指定野菜に準じる野菜を「特定野菜」に分類。こまつな、みつば、ちんげんさい、ふき、しゅんぎく、セルリー、ブロッコリー、かぼちゃ、さやいんげん、など35品目。出荷量は192万tで、全体の16%を占める。

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