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スギ苗作りに魅力 ロガーズの後藤克弥さん 目指せ林業プロ 我が社のホープ

スギ苗作りに魅力 ロガーズの後藤克弥さん 目指せ林業プロ 我が社のホープ
平均年齢35歳前後、社長を含め従業員数5名の少数精鋭で福井市、永平寺町、越前町の森林施業を行っているロガーズ=山本真吾社長、福井県福井市上野本町3―635=で汗を流す後藤克弥さん(29歳)が今回のホープだ。高性能林業機械やチェンソーといった機械に興味を持って就労するケースが多い中、後藤さんが林業の世界に入るきっかけになったのが〝苗〟。山仕事の傍ら、今年から本格的にスギ苗作りに着手した。「ちゃんと出荷できる規格まで育てられるか不安ですが、〝ロガーズの後藤が作った苗は良い〟みたいに言われたら嬉しいですね」と笑顔で答えた。
 福井市出身。〝自然が好き〟との理由で島根大学森林学科に進学したが訳があって帰郷。アルバイトをしながら就活していたが、興味のある山に近い場所で働きたいと思い立ち福井県が主催する『ふくい林業カレッジ』に入校。資格取得や研修を行っていた過程で出会ったのがスギ苗作りだった。「ひと目見て面白そうだったので。実家が兼業農家だったからこういう仕事は向いているかもと思いました」。その後インターンシップの最中に山本社長に出会い、〝スギ苗を作りたい〟と話したところ山本社長が承諾。ロガーズでスギ苗作りをすることになった。
 入社後すぐに県内でスギ苗作りが盛んだった武生市味間野地区の農家の下で約3カ月修行。種から生産する仕方を一通り学んだ。「僕が作っているのはコンテナ苗。県の補助事業で予算がつき、実家のほ場畳1~2畳分のスペースを借りて1万本分のスギ苗を育てています。ある程度成長したらコンテナのポットに移して育て、2年で出荷を予定しています」と話す。
こうしたスギ苗作り以外は、森林整備作業に没頭。チェンソーで伐採し、フォワーダで運び出し、トラックでヤードまで持っていくまでを先輩社員らと共に行っている。「作業内容は何でも楽しいですが、強いてあげるなら伐倒作業。上手く木を伐ることができれば楽しいです。山仕事での目標は作業スピードを上げること。常に集中力を切らさず、次にどのように動くかを考えながら作業することを心掛けています」。
 そうした仕事ぶりを山本社長は高く評価。「木を一本伐るにしても以前と比べて明らかに変わった。何事も慎重派で1回作業を覚えると大丈夫という安心感があり、10年くらいしたら誰も勝てなくなるのでは」と褒めていた。
 現在スギ苗は大きいもので12㎝まで成長。先月からは広葉樹の苗作りにも着手した。「この地域でも5~6年後には皆伐がメインになると踏んでいる。それに備えて高く売れる造材や架線集材技術の取得など準備をしていきたい」と山本社長。皆伐が増えれば苗の需要も上がることが予想され、後藤さんの取組みに期待している。苗は福井県森連に販売し、県内の森林組合や事業体に配布される予定だ。「自分で作ったスギ苗が山で育ってくれるのを想像するのが楽しみ」と、充実感をみなぎらせていた。
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 本レポートは各地のJ―クレジット発行体を取材した「カーボン・オフセットで森づくり」に続き、各素材生産業者や森林組合などから若手林業従事者を紹介いただき、林業に入った感想などを聞くと共に、各事業体代表者などから人材獲得や育成について取り組んでいる工夫などを聞く。

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