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タンザニア視察 数年後の変化楽しみ

9月13日号より続き】

訪問先でコメ作りについて尋ねると2期作であったり場所によっては2.5期作や3期作という返事も。換金性が高いゆえにとにかく生産に対して旺盛な気持ちが伝わってくる。タンザニア国内には天水低湿地と畑作水田があり、それらを合わせた1haあたりの平均収量は2.5~3tに対してJICAの支援を受けた灌漑地区は6~7tほど。他の国なら5t取れれば良いとされる中にあってタンザニアは高いと言われ、栽培技術も上がっている。
 4日目に訪問したタンガ州のモンボ灌漑地区、5日目のプワニ州のバガモヨ灌漑地区、この両地区のキーワードを付けるなら〝日本〟か。日本の長期的な指導によりコメ作りを軌道に乗せたことで築かれた信頼関係を感じることができた。
 特にモンボ灌漑地区は農業機械をしっかり運用・管理しビジネス展開を成功。1960年代から灌漑地区の整備が始まった220haの灌漑地区で、2015年にPHRDの支援で供与された機械セット(コンバイン2台(クボタ製普通型1台、韓国製自脱型1台)、脱穀機2台、中国製精米プラント1台、リーパー1台)を活用して利益を出し、組合自ら政府系金融機関(TADB:タンザニア農業開発銀行)から融資も受け、クボタ製コンバイン2台(2018年と2019年)のほか、ニューホランド製トラクタ(2019年)、精米プラント(中国製2018年)を購入して活用している。
 組合の最大収益(40%)は精米ビジネスで、その他、組合員の220haに加え、周辺農家の収穫作業請負、さらに約600km離れた南部のムベアに1か月程度出張もするなど、コンバインの請負事業でもかなり利益が出ていることが伺えた。作付けカレンダーを作成して効率よく機械配備をしていること、自分たちで部品を入手し、一般整備を自ら行うことで故障によるロスタイムを減らせることなど、他所の灌漑地区では聞かれなかったことを実践していたことを知り、次のステップに進んでいる農村が出てきていることを感じた。
 協議後に見事なほ場を視察。水不足問題解決のために、220haを二つの作期に分け、ずらして栽培していることに感心する一方で、水路脇の草もキレイに刈り取られていて、管理が行き届いていることがこうした点からも伺えた。
     ♢
 7月30日から8月7日までの行程で行ったタンザニア視察。8月23日号で総論、9月6日号・13日号と今号で見聞きし、感じたことなど付け足す形で紹介してきた。断片的な情報ばかりで参考にならないかもしれないが、最後の巨大市場といわれるアフリカについて興味を抱いてもらえたらと思う。農業生産における機械化については未知数な部分が多い点は事実だと思われるが、東南アジアもそのような状態から飛躍的な発展を遂げ、日本メーカーにとって大きな市場になったことを考えれば、数年後に改めて同じ場所を辿ってどのように変わったのか見てみたい(佐藤記者)。

         了

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